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「打てなかったらすぐサヨナラするぞ」阿部監督からの激励に応えた巨人19歳の満塁弾

スポーツ報知 2024年8月15日 5時10分

◆JERA セ・リーグ 巨人4―0阪神(14日・東京ドーム)

 新星の大仕事に喜びが爆発した。阿部監督は満塁弾を放った浅野を満面の笑みで出迎え、力強いハイタッチで祝福した。場内は歓喜の渦。「いやあ、ビックリしました。打った瞬間はどうかなと思ったんですけど角度が良かったので」。一塁ベンチから見て真正面、左翼ポール際に飛び込む値千金の放物線を目にし、興奮を抑えきれなかった。

 相手先発は左の及川。左手首骨折で離脱したヘルナンデスに代わり12日に昇格した浅野を「8番・右翼」で4か月ぶりにスタメンに入れた。練習中に声をかけ「打てなかったらすぐサヨナラするぞ」と激励。緊張をほぐして背中を押す狙いもあった。「冗談だけど、思い切ってやれって。そういう意味も込めてね」。起用がズバリ的中した。

 大事に大事に階段を上らせてきた。1年目の昨年はプロ初本塁打を放ったが腰痛のため秋季キャンプ不参加。その影響を考慮し、2月のキャンプは故障班、3軍で時間を与えた。外野のレギュラー候補と期待しつつも「無理して上げる必要ない」と焦らせない方針を貫き、2軍を経て3月の開幕直前に1軍に呼んだ。

 開幕直後は3番でも起用したが、無安打で4月上旬に2軍降格。その際に「ただ漠然と振っているようにしか見えない」と課題を伝え、直球待ちだけでは1軍で通用しないと指摘した。「たまには変化球を待ってみたりする練習も必要」と狙い球を絞る大切さも助言し、「ちゃんと見ておくから」とファームに送った。

 7月に入り、2軍で打撃好調だったが、簡単には1軍に上げなかった。その理由は―。「野球脳みたいなのがまだ足りないかなと思って。自分が打つことばかりではなくて状況判断、考えることが野球は大事だから」。結果が全ての1軍ではなく、2軍で考える力を養ってほしい。金の卵をじっくり育てるためだった。ヘルナンデス離脱の緊急事態ではあったが、カウント1―1から課題だった変化球をとらえて殊勲の満塁弾。育成計画が実を結んだ。

 東京ドーム初本塁打が阪神戦の満塁本塁打といえば坂本勇人と同じ。坂本も当時、浅野と同じ高卒2年目の19歳だった。岡本和真も東京ドーム初本塁打は3ランだが阪神戦。伝統の一戦で輝く「巨人高卒ドラ1」のスターの系譜の継承だ。「自信につなげてもらいたい」と阿部監督。新たな伝説の幕開け、明るい未来に期待した。(片岡 優帆)

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