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【甲子園】鶴岡東のエース桜井椿稀に涙なし…2戦237球投げ抜き「悔いを残さず出し切りました」

スポーツ報知 2024年8月16日 9時42分

◆第106回全国高校野球選手権大会第9日目 ▽2回戦 早実1x―0鶴岡東=延長10回タイブレーク=(15日・甲子園)

 2回戦で鶴岡東(山形)がタイブレークまでもつれる接戦の末、早稲田実(西東京)に0―1でサヨナラ負けした。2試合連続先発のエース左腕・桜井椿稀(3年)が9回まで無失点に抑えるも、延長10回に力尽きた。過去最高成績の8強入りという目標には届かなかったが、佐藤俊監督(53)は最後まで粘り強く戦い、頑張りを見せた選手たちをたたえた。

 力及ばずサヨナラ負けにも、涙はなかった。「負けてしまって悔しいけど、悔いを残さず出し切りました」と、真っすぐ前を見て鶴岡東・桜井が言い切った。1回戦で13安打8得点の早実打線を、130キロ台の伸びのある直球を軸に変化球を丁寧に低めに集め、9回まで無失点に抑える好投。プロ注目の2番・宇野真仁朗遊撃手(3年)を4打数無安打に封じるなど、持ち味を存分に発揮した。

 だが無死一、二塁から始まるタイブレーク方式の延長10回、1死満塁から右翼手の頭上を越える一打を浴びて敗戦。5安打9奪三振、121球の熱投も勝利には結びつかなかったが、「全力で投げた結果なのでしょうがない。(高校3年間の)ベストピッチでした」と振り返った。116球1失点完投勝ちした1回戦・聖光学院戦に続く好投に、佐藤監督も「技術的なものだけじゃなく人間的なものも、全てにおいて成長してくれた。このピッチングがそのものだと思う」とたたえた。

 打線は相手投手の威力ある直球を捉え切れなかった。1回戦で制球を乱した場面が多かったため、序盤は待球作戦を取ったが奏功せず5回まで無安打。中盤以降は積極的に打ちにいったが4安打に終わった。タイブレーク方式の延長10回はバント失敗と三盗失敗が響いたが、指揮官は「先攻なので積極的にいくしかなかった。本当に頑張ってくれました」とねぎらった。

 チームの目標だった8強入りはならなかったが、佐藤監督と3年生たちの“約束”は果たせた。2年前の22年夏に出場した際はコロナ禍の影響で制限が多く、かなわなかった3年生控え部員との室内練習場での記念撮影ができたのだ。指揮官は「彼ら(3年生)とこんなに長く過ごせて、写真も撮れた。よく頑張りました」。そして後輩たちに「先輩たちが頑張ってきたものを受け継いでくれれば」と思いを託した。甲子園でのプレーに桜井は、「今までで一番の景色でした。その中で投げられて楽しかったです」。全てを出し切った3年生の背中を目に焼きつけた後輩たちが、次こそ8強入りの目標を達成する。

(有吉 広紀)

 〇…6回2死から1番・丹羽秀太右翼手(2年)が、チーム初安打となる一塁内野安打。4回には四球を選ぶなど2度出塁も、ホームが遠かった。この試合は丹羽はじめ2年生が3人スタメン出場。「尊敬できる人たちばかりでした」と3年生に感謝し、「接戦でも勝ち切れるように強くなって、もう一度ここに戻ってきたい」と誓った。

 ★鶴岡東・億田知輝捕手(3年。守備で奮闘も打撃は好機で2度凡退など4打数無安打)「ここまで桜井や仲間に助けられてきて、少しでもみんなの支えになりたいと思っていた。(桜井には)もっと高いところを目指していると思うので、頑張ってくれよと声をかけました」

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