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【甲子園】「出雲大社の神様が見てくれてると信じている」大社のエース・馬庭優太が11回2失点完投&V打

スポーツ報知 2024年8月18日 6時0分

◆第106回全国高校野球選手権大会第11日目 ▽3回戦 大社3×―2早実=延長11回タイブレーク=(17日・甲子園)

 8強が出そろった。県立伝統校の大社(島根)が、早実(西東京)と延長11回タイブレークの末、サヨナラ勝ち。史上最長ブランクとなる93年ぶりの8強入りを決めた。エース左腕の馬庭優太(3年)が11回2失点完投&V打。公立校唯一のベスト8進出に導いた。早実は9回のサヨナラのピンチを内野5人シフトでしのぎ、聖地を沸かせた。18日は休養日。19日に準々決勝4試合が行われる。

 93年ぶり8強への扉が開いた瞬間、馬庭は両手を広げ天を仰いだ。2―2のタイブレーク11回無死満塁、初戦から3試合計30イニングを1人で投げ抜いた疲れも吹き飛ばし、打席でこん身のひと振り。打球は相手の2番手右腕・川上真の股の間から中前へ抜けた。「出雲大社の神様が見てくれてると信じているので『見守ってくださり、ありがとうございます』と天を見ました」。春夏通じて初の1大会3勝で、慶応(神奈川)の88年ぶりを超える最長ブランクでの8強入り。歴史は大きく塗り替えられた。

 ヒーローは馬庭だけではない。1―2で迎えた9回無死一、三塁、高橋翔和が同点スクイズ。「すごい執念を感じた。幸せだなって、最高のメンバーと野球やれてよかったなって」と、涙の右腕はまたギアを上げ、10、11回を無失点で切り抜けた。11回の攻撃前、石飛文太監督(42)がさらに動く。「ここでバントを決める自信のある者、手を挙げろ」。今夏、地方大会から一度も出場していない安松大希が「サード側に決めます」と立候補。“勝負の時”を待っていた両打ちの背番号12は、左打席できっちりと三塁側に転がして有言実行。内野安打にして無死満塁。チームの士気を一気に高め、馬庭のサヨナラ打につなげた。1回戦・報徳学園(兵庫)戦に続く甲子園V経験校を撃破に、指揮官は「この子たちの可能性、生徒の夢は無限大だと思います。執念の一言じゃないでしょうか」と涙を拭った。

 出雲大社から約3キロにある県立校が、満州事変が起きた1931年以来の夏8強入りだ。19日の準々決勝・神村学園(鹿児島)戦では、ロシア革命の1917年以来、107年ぶりの4強入りを狙う。「11イニング投げたんですけど、疲労は全く感じてなくて、次も投げたいな。チャレンジャーでいきたい」と馬庭。勝ち抜いた唯一の公立校・大社が、聖地に旋風を巻き起こす。(瀬川 楓花)

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