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【甲子園】京都国際の日本一原動力はW左腕エース、中崎「2人でマウンドを守り続けられて良かった」、“胴上げ投手”西村は24回防御率0・00

スポーツ報知 2024年8月24日 5時5分

◆第106回全国高校野球選手権大会第14日 ▽決勝 京都国際2―1関東第一=延長10回タイブレーク=(23日・甲子園)

 京都国際が関東第一(東東京)を2―1で下し、春夏通じて初優勝を飾った。決勝戦で初めてタイブレークに突入した延長10回に2点を奪い、西村一毅(いっき、2年)が反撃を1点で断った。大会通じて24回を投げ、防御率0・00を達成。優勝校で20回以上投げ、0・00は53年ぶりの快挙。先発して9回無失点と流れを呼び込んだ中崎琉生(るい、3年)とのダブルエースが、日本一の原動力となった。

 マウンドで両腕を天に突き上げた。京都国際・西村が感情を爆発させた。延長10回、1点差に迫られ、なおも2死満塁。坂本慎太郎(2年)への1ボール2ストライクからの4球目。選んだのは大会を席巻した宝刀チェンジアップではなく、スライダーだった。「チェンジアップは今日は制球できていなかった。直球で押していたので最後は曲げようと」。バットが空を切る。頂点に立った。猛ダッシュで駆け寄るナインと人さし指を突き上げ、歓喜の輪を作った。今大会は4試合、24イニングを投げ、防御率0・00の2年生左腕が“胴上げ投手”となった。

 緊迫した場面での打撃も光った。延長10回無死一、二塁。ここまで9回無失点と好投していた中崎に代わり、背番号11の西村が打席に向かった。「サインはバント。まだ中崎に投げさせても良かったけど、正直(バントが)下手で…」と小牧監督は代打を送った意図を説明する。2ボール1ストライクからの4球目、「相手がプレスをかけてくると分かっていた」と三塁手と一塁手の猛チャージに、寝かせていたバットを素早く引き、ライナーで左前にはじき返した。「(チャージに)来たら打つ練習はしているけれど、あの場面で腹をくくって決めるのは、たいしたもん」と絶賛した指揮官の勝負手に応えて無死満塁とし、押し出し四球と右犠飛で2点を奪った。

 「一緒に日本一を取ろうって言ってきた。2人でマウンドを守り続けられて良かった」と中崎も胸を張った。今春センバツの初戦は青森山田にサヨナラ負け。4失点完投で涙をのんだ中崎と、ベンチ入りを逃した西村。互いの悔しさが、これ以上ない結果となって結実した。

 「日本一になって、見えた景色は違うなと思いました」と話す中崎を、エースとしても、チームとしても超えるため、西村は「先輩たちが成し遂げたことを自分たちもできるように、チームを引っ張りたい」と早くも秋へ気合を込めた。21年夏4強の現DeNA・森下瑠大から脈々と受け継がれてきた左腕の系譜。初の日本一に満足せず、未来へ受け継いでいく。(森口 登生)

 【記録メモ】▼2人の左腕でV 決勝は中崎琉生、西村一毅両左腕の継投で勝利。2人の投手成績は(完投の〈〉内数字は完封、失点、自責点)

  登板  完投   回 失 責  防御率

中崎(4)2〈1〉 31 5 5 1・45

西村(4)2〈2〉 24 1 0 0・00

 ともに投球回20回以上。2投手が20回以上投げた優勝校は07年佐賀北以来、8校目。左腕2人は04年駒大苫小牧に次ぎ、2校目。

 ▼防御率0・00 西村は昨年の慶応・小宅雅己以来となる下級生の“胴上げ投手”(V決定試合の最後に登板)。24回を投げ、防御率0・00(1失点)。優勝校で20イニング以上投げ、防御率0・00は、全5試合完封の39年海草中・嶋清一、48年小倉・福嶋一雄を始め、71年桐蔭学園・大塚喜代美(1失点)以来、53年ぶり7人目。48年学制改革以降、下級生では初めて。

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