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亀田和毅 引退とどまらせた4歳長男・望有くんの成長と応援歌

スポーツ報知 2024年8月27日 18時57分

 プロボクシングで世界3階級制覇への挑戦権を獲得した亀田和毅(33)=TMK=が27日、スポーツ報知の取材に応じた。コロナ禍を乗り越え、ようやくつかんだ世界挑戦切符への道のりを振り返り、自身のこの5年を象徴するシーンとして、試合前に応援歌を歌ってくれた4歳の長男・望有くんの雄姿を挙げた。

 24日、大阪・大和アリーナで臨んだIBF世界フェザー級王座指名挑戦者決定戦。和毅はレラト・ドラミニ(南アフリカ)に2―1の判定勝ちを収め、昨年10月に1―2の判定で敗れた相手に雪辱した。入場前には望有くんがマイクを持って3000人を超える多くの観衆の前に登場し、臆することなく堂々と歌って先導した。

 望有くんが、歌った曲は「人生のパートナー」「運命の人」を意味する、スペイン語の「media naranja(メディア・ナランハ)」。プロデビューしたメキシコで和毅がいつも入場曲で流していた歌だった。メキシコでは「エル・メヒカニート」(メキシコの少年)の愛称で愛される父親の試合の映像を見た望有くんが、今回の試合で自ら「歌いたい」と申し出た。

 「望有の姿を見て『絶対勝たないかんな』って思いましたよ。父親がボクシングをやってるって分かるようになって、子供なりに考えてくれたのかも知れないですね。『media naranja』を歌う望有の成長した姿を見て、僕もここまでの道のり、一時、辞めようと思って、思いとどまったりしたことを思い出しました」

 望有くんは、コロナで世界挑戦機会に恵まれなかった20年5月に滞在先のメキシコ市で誕生。15年10月に結婚したメキシコ人のシルセ夫人との間に授かった。

 「希望を持って生まれてくれたから『望有』。この時代に生まれたからこそ、人々の希望とか助けになって、人を愛し、愛されるようになってほしいという強い思いを込めました」

 当時は朝は子供を寝かしつけてから練習へ。練習を終えた後はおしめを替え、食事を作り、掃除をし、夕方から練習を再開。試合がいつ訪れるかも分からない、そんな毎日を繰り返す中、くじけそうになったこともあった。

 「コロナの大変な中でシルセの支えもなかったら、ボクシングを辞めてたかも知れない。望有が物心つくまで頑張ろう、リングで戦う強い父親を見せたい、そういう気持ちになりました」

 今年4月2日には次男の有里(あり)くんも誕生し、家族の絆はさらに深まった。

 「多くの人がコロナによって人生を狂わされたと思う。けど、人生が素晴らしいことに変わりはないってことを、僕は家族に教えてもらったと改めて感じましたし、望有の歌には僕のそんな思いが凝縮していたように感じました」

 25勝(12KO)1敗の30歳IBF王者アンジェロ・レオ(米国)への世界挑戦時期は、来年2月10日が実施期限になっている。

 22年4月に活動拠点をメキシコから日本に移して2年。足かけ5年、ようやくたどりついた世界3階級制覇挑戦へ、「家族だけでなく支えてくれた、たくさんの人に恩返しをしたいから、最後に日本でもう1回、世界チャンピオンになりたいですね」と和毅。キャリア最大の戦いが始まる。(小河原 俊哉)

 ◆亀田和毅(かめだ・ともき)1991年7月12日、大阪市西成区生まれ。33歳。長兄・興毅氏は元世界3階級制覇王者、次兄・大毅氏は同2階級制王者覇。中学卒業後の2007年、15歳で単身メキシコへ武者修行へ。08年、メキシコでプロデビュー。13年8月、WBO世界バンタム級王座奪取。18年11月、WBC世界スーパーバンタム級暫定王座を獲得し2階級制覇。42勝(23KO)4敗の身長171センチ、右ボクサーファイター。家族は妻・シルセさんと2男。

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