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テニス内島萌夏、全米初出場初勝利 世界ランク日本勢トップ64位急浮上23歳が次期エース名乗り

スポーツ報知 2024年8月28日 5時30分

◆テニス 全米オープン 第1日(26日、ニューヨーク・ナショナルテニスセンター)

 日本女子のトップで世界ランキング64位の内島萌夏(もゆか、23)=安藤証券=が、全米初出場で初勝利を挙げた。シングルス1回戦で同111位のタマラ・コルパチュ(29)=ドイツ=に3―6、6―3、6―4で逆転勝ち。4大大会本戦全出場達成を勝利で飾った。2回戦では同101位のユレ・ニーマイアー(25)=ドイツ=と対戦する。

 手こずった熱戦に終止符を打ったのは、内島の思い切りの良さだ。試合開始から2時間15分で訪れたマッチポイント。得意のフォアを振り切ると、相手の返球がラインを割った。「初めての全米で勝てたことは喜んでいいのかな」。両手で拳をつくり、力強く締めた。

 前哨戦で腰を痛めたため、サーブに影響が出た。第1サーブの入る確率が50%を切り、ダブルフォルトが計10本と苦戦。第1セットだけで7本を犯し、セットを落とした。しかし、「自分から展開しよう」と、第2セットから内島の武器であるフォアを使い、逆転に成功した。

 4月8日にスペインで開幕したツアー下部大会から、5月下旬の全仏2回戦で敗れるまで6大会に出場し、4大会で優勝。26勝2敗で、19連勝も記録した。年頭に171位だった世界ランキングが急上昇し、全仏では初めてトップ100入り。「考えてもいなかった」というパリ五輪(シングルス初戦敗退)にも出場した。

 10歳でテニスを始めた。そのわずか6年後の16歳で、17年全日本ジュニア18歳以下を制し、ジュニア日本一となった逸材だ。19年に18歳でプロ転向。同年9月から中国・広州を拠点に、米国で30年以上の指導歴があるアラン・マー氏に師事した。最初、「全てのショットを直され、グリップの握りも変えた」。加えて、新型コロナで、中国から海外に出られなくなり、20年3月から21年8月まで1年半、実戦から遠ざかった。

 遠回りとなったが、その才能が今年、ようやく花開いた。日本女子は、世界32位になった奈良くるみが22年に、同30位だった土居美咲が23年に相次いで引退。ツアー3勝の日比野菜緒も現在、100位以下だ。大坂なおみも産休からの復帰が手探りで、世代交代が急務。この全米で、すべての4大大会に出場した23歳の内島が、次期エースとして名乗りを上げた。

 ◆内島 萌夏(うちじま・もゆか)

 ★生まれ 2001年8月11日、マレーシア・クアラルンプール。23歳。

 ★サイズ 173センチ

 ★出身校 小平市立小平第二中―一ツ葉高

 ★家族 父とマレーシア出身の母、妹の4人。妹もテニス選手

 ★テニスのきっかけ 9歳で日本に。家族が遊びでやるようになり、10歳で近くのテニススクールに通い始めた

 ★主な成績 テニス歴わずか5年で16年全国中学生単複優勝。17年全日本ジュニア18歳以下優勝で、ジュニア日本一。23年全豪に、アジア枠推薦で4大大会本戦初出場。今年の全仏で4大大会初勝利。パリ五輪代表。

 ★趣味 映画観賞

 ★尊敬する選手 元世界女王で全仏、ウィンブルドン単覇者シモナ・ハレプ(ルーマニア)

 ★プレースタイル 右利きで、フォアは片手、バックは両手打ち。ベースライン中心から攻撃的なショットでネットにも出る

 ★得意なショット フォアハンド

 ◆日本女子全米初出場初勝利 過去、全米本戦に出場した日本女子選手は計39人。内島が40人目で、今大会予選を勝ち上がった柴原瑛菜がプレーすれば41人目。その39人のうち、初出場初勝利を挙げたのは14人。内島は、17年尾崎里紗以来、7年ぶりで15人目だ。全米初出場での日本女子最高成績は、94年に遠藤愛がマークした4回戦(ベスト16)進出だ。

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