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アジア杯でロングボールに苦戦…潜在能力高い若手育てながらチーム力UPへ 森保監督がサプライズ招集をした背景

スポーツ報知 2024年8月30日 6時30分

 日本サッカー協会は29日、26年北中米W杯のアジア最終予選、中国戦(9月5日・埼玉)、バーレーン戦(同10日・アウェー)に向けた27人のメンバー発表を行い、DF望月ヘンリー海輝(ひろき、22)=町田=、DF高井幸大(19)=川崎=が初招集された。18年ロシア、22年カタールW杯予選と、最終予選の初戦は2連敗中。確実に勝ち点3が欲しい初戦に向け、新戦力を呼んだ背景を金川誉記者が読み解く。

 会見場で配られた代表リストに望月の名を見つけた時、思わず目を疑った。パリ五輪世代だが、過去に年代別代表の経験もないプロ1年目の右サイドバックの初招集には、J1町田担当としてその活躍ぶりを取材してきた記者も本当に驚いた。本人はクラブを通じ「今回の選出はFC町田ゼルビアに関わる全ての方々のおかげです」と感謝の言葉を並べた。クラブ関係者によると、本人も驚きを隠せなかったという。

 192センチの高さ、大きなストライドを生かしたスピードを持ち、J1首位に立つ町田でポジションをつかんだ。チームの黒田剛監督(54)が「彼にしか止められない選手がいる。将来的に日本代表に入っていける」と評価してきた。一方でJ1での出場はまだ17試合。経験不足は否めない。パリ五輪でセンターバックとしてチームの中心を担った高井についても、すぐにA代表で戦力となるかは未知数の中、大事な最終予選のメンバーに入った。

 前回21年カタールW杯の最終予選初戦(オマーン戦)では、東京五輪で活躍したGK谷のみが初招集と、実績重視の招集が目立った。今回ふたりが呼ばれた理由には、ただこの試合に勝つ、という理由以上の意味が含まれているはずだ。ともに192センチと招集メンバーの中で最長身。特に日本代表の歴代サイドバックで最長身となる望月は、GKからのロングボール時に高い位置を取り攻撃の起点となるプレーも得意だ。8強で敗れた今年のアジア杯ではロングボールに苦しんだ森保ジャパンに高さという武器をもたらすことは間違いない。

 一方、森保監督はふたりについて「完成された選手として招集していない。活動を通して経験を積んでもらい、戦力として成長してほしい」とも語った。招集27人中、ベンチ入りメンバーは23人のため、事前準備でも競争がスタートする。若く、潜在能力の高いふたりの招集は、最終予選の間にもチームの底上げを図るために他ならない。勝ちながらチーム力を上げ、W杯に向かう。W杯優勝という究極の目標に向け、森保ジャパンがアジアの戦いに挑む。

 ◆26年北中米W杯アジア最終予選 今大会からアジアの出場枠が「4.5」から「8.5」に拡大。9月から来年6月まで行われる最終予選では、このうち6枠が決まる。2次予選を突破した18チームが3組に分かれ、各組2位までが出場権を獲得。各組3、4位はプレーオフに進み、残り2つの出場枠と大陸間プレーオフに回る1枠を争う。日本はC組で、サウジアラビア、オーストラリア、バーレーン、中国、インドネシアと同組になった。

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