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「僕が野球を離さないんじゃない。野球が僕を離してくれないんだ」王貞治さん、長いキャリアにあった数々の「もし」

スポーツ報知 2024年9月3日 6時0分

 巨人球団創設90周年記念の連続インタビュー「G九十年かく語りき」の最終回を飾るのは、世界のホームラン王・王貞治さん(84)=現ソフトバンク球団会長=だ。長嶋茂雄さんとの「ONコンビ」で栄光のV9。47年前の1977年9月3日には、ハンク・アーロンを抜く世界新記録756号を放ち、日本中を熱狂の渦に巻きこんだ。メモリアルデーを前に、野球人生の喜怒哀楽を語った。(取材・構成=太田 倫、取材協力=報知新聞社OB・田中 茂光)

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 ◆取材後記

 王さんが福岡に新たな挑戦の場を求めてから、今年でちょうど30年。巨人で選手、指導者として過ごしたのと等しい時間になった。長い長いキャリアをひもとくとき、野球の神様(らしきもの)が、そこかしこで顔をのぞかせる。

 もし右打ちのままだったら。もし普通の公立校に入っていたら。もし阪神に入っていたら。一本足打法ですぐ本塁打が出ていなかったら…。どれかひとつ欠けても、868本のアーチは生まれていなかった。

 「常に気をつけと言われているような」人生は、巨人のユニホームに袖を通したことと、もうひとつは、野球の神様に“愛されすぎてしまった”ことで決定づけられたのかもしれない。

 王さんも、それに気づいているようだった。

 「僕が野球を離さないんじゃない。野球が僕を離してくれないんだ」

 困ったもんだね、という口ぶりとうらはらに、その顔は心の底からうれしそうに見えた。(野球デスク・太田 倫)

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