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武居由樹、ボクシングに転向後初ダウンも攻め続けて初防衛「大吾さんと最高の試合ができて良かった」

スポーツ報知 2024年9月4日 5時50分

◆プロボクシング ▽WBO世界バンタム級タイトルマッチ12回戦 〇王者・武居由樹(判定3―0)同級1位・比嘉大吾●(3日、東京・有明アリーナ)

 WBO世界バンタム級王者・武居由樹(28)=大橋=が同級1位・比嘉大吾(29)=志成=を判定で下し、初防衛に成功した。元K―1王者の武居は11回にダウンを奪われたものの、アッパーなどを打ち込んで激しい打撃戦を制した。武居は試合後、同じくキックボクシングから転向してきた那須川天心(26)=帝拳=との対戦に夢を広げた。6年5か月ぶり、最長ブランクでの王座返り咲きを逃した比嘉は現役引退を表明した。

 武居の勝ちたい気持ちが上回った。元WBC世界フライ級王者・比嘉との初防衛戦。ともに試合前からKO勝ちを宣言したように激しく打ち合った。11回、比嘉の左フックで膝をついた。キックからボクシングに転向後、初のダウン。だが、王者は最終回、前に出続けた。試合は判定へ。3―0で勝利も、ジャッジ2人が1ポイント差の、まさに死闘だった。

 「勝ちには納得できないが、(比嘉)大吾さんと最高の試合ができて良かった。大吾さんは気持ちが強くて、自分がやられたくないことをやられた。すごいファイターでした」と武居。ダウンはスリップ気味だったが「取られてもおかしくないくらいパンチをもらっていた自分が悪い」と反省した。

 5月の東京ドーム興行で、J・モロニー(オーストラリア)に判定勝ち。初挑戦で世界の頂点に立った。これまでのようなけがもなく、最後までスタミナが切れないよう元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナー(41)の厳しい練習にも耐え抜いた。

 井上尚弥という存在も大きかった。7月下旬のジム内集中トレーニングで、武居は尚弥と2人1組で練習する機会があった。競うように、同じサンドバッグを一緒に激しくたたいた。パンチを当てないマスボクシングで胸を借り、いくつもの助言が支えとなった。

 バンタム級は、4団体王者全てが日本人。だが、戦いたい相手がいる。キックで42戦無敗だった那須川の存在は、ボクシング転向をする理由の一つだ。「転向前からずっとやりたいと思っていた。中谷選手とかじゃなくて、天心君とやりたいという思いは強い。でも、今日の試合じゃ、まだまだ」。天心は10月13日、初のタイトル戦となるWBOアジアパシフィック同級王座決定戦に臨む。勝利を重ねた先に実現するかもしれない夢の対戦に向け、勝ち続けるだけだ。(谷口 隆俊)

 ◆武居 由樹(たけい・よしき)1996年7月12日、東京・足立区生まれ。28歳。高校時代はボクシング部で活動。その後キックボクシングに転向し、2014年11月にKrushでデビュー。17年4月、K―1ワールドGPスーパーバンタム級王座を獲得。20年12月にボクシング転向を表明し、大橋ジム入り。21年3月にデビュー。22年8月に東洋太平洋スーパーバンタム級王座獲得(初防衛後に返上)。24年5月、ジェーソン・モロニー(オーストラリア)を破りWBO世界バンタム級王座獲得。身長170センチの左ボクサーファイター。

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