自民党の茂木敏充幹事長（６８）は４日、都内で記者会見を開き、党総裁選（１２日告示、２７日投開票）への出馬を表明した。総裁選への出馬表明は５人目となり、立候補制となった１９７２年以来過去最多に並んだ。
総裁選初出馬となる茂木氏は、成長戦略の推進で「増税ゼロ」を断言。防衛増税と子育て支援金の保険料の追加負担を巡り、各１兆円分は停止するとした。党幹部に支給され使途公開が不要の政策活動費の廃止、政治資金パーティーの収益を課税対象とする法改正も約束。半年以内にデフレ脱却宣言できる状況にするとし「３年以内に結果が出なければ総理が責任を取る」と覚悟を示した。
政策通として知られる茂木氏も共同通信が８月下旬に行った「次の総裁にふさわしい人」の世論調査では１・８％で７位。不振について「モテギって名前じゃなかったらよかったな～と。あいうえお順なので（名前の並びが順位付けに不利な）最後になってしまう」と苦笑い。「アライとかが良かった」と不人気は名前の掲載順が要因とした。
上位進出を目指すキーワードが「意外と敏充（としみつ）」だ。能力が高いだけに他者への要求も厳しく、かつては一部の議員や官僚に「気が短い」と恐れられてきた。そんなイメージを転換すべく、支持議員らとアピールに躍起となっている。対話集会で料理を振る舞ったり、「小学４年まで田舎の分校に通った」など親しみやすさを演出。この日も「何でも完璧にできるんじゃないかと見られますが、意外と携帯を忘れるとかできないことが多い」と自虐的に述べる一方で「意外と料理ができるなど側面もある」と柔らかい一面を披露し、笑顔を見せた。
状況は厳しい。先月１４日には麻生太郎副総裁（８３）とのステーキ店会食で支援を断られた。茂木派から加藤勝信元官房長官（６８）も出馬の意欲を示している。刷新感のなさもネックだ。党ナンバー２の幹事長にもかかわらず、防衛増税など岸田政権で決めた政策の転換方針に、党内から早くも「無節操だ」（閣僚経験者）との声が上がっている。