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18歳・鈴川紗由、水野美紀の変幻自在な芝居に魅了され女優に 夢ノートの最大目標は「朝ドラのヒロイン」

スポーツ報知 2024年9月5日 8時0分

 女優の鈴川紗由(18)が、公開中のアニメ映画「きみの色」(山田尚子監督)で声優に初挑戦している。映画「けいおん!」「聲の形」など、繊細なアニメーション演出で知られる山田監督の最新作。鈴川は1600人のオーディションから、主人公・トツ子の声優に抜てきされ「夢のよう」と声を弾ませる。女優として自身の“色”を模索中の原石は、「朝ドラのヒロインになりたい」と大きな夢を語った。(奥津 友希乃)

 大きな瞳と純真無垢(むく)な表情が印象的な鈴川。本作では自然体の表現力で大役をつかみ、可能性を感じさせるニューヒロインだ。

 女優を志したのは、水野美紀(50)の変幻自在な芝居に魅了されたことがきっかけ。NHK連続テレビ小説「スカーレット」(19~20年)と、テレビ東京系ドラマ「浦安鉄筋家族」(20年)を同時期に観賞し、衝撃を受けた。

 「朝ドラで演じられたクールな新聞記者役と、『浦安鉄筋家族』のコミカルなお芝居のギャップがあり過ぎて、最初は同一人物だと気づかなくて。母に『どっちも水野さんだよ』と言われて驚いたんです。『役によって別人に見える役者のお仕事ってかっこいい』と思い、(現在所属する)事務所のオーディションに挑戦することを決めました」

 20年にユニバーサルミュージックの初の女優オーディション「ニュー・ヒロインオーディション」で、2500人を超える応募から特別賞を受賞。女優の道が開けた。「きみの色」でも高倍率のオーディションを経て主役声優の座を射止め、勝負強さを発揮した。

 本作で声を務めるのは、出会った人が「色」で見える女子高生・日暮トツ子。天真爛漫(てんしんらんまん)で、三つ編み姿が愛らしいキャラクターだ。オーディションには「トツ子のイメージビジュアルを頂いていたので、私も髪を三つ編みにして、(トツ子の私服に似た)オーバーオールを着ていきました」と、トツ子になりきって演じた。

 アニメ作品の声優はかねて夢だった。趣味は「声優とVTuberの推し活」で、「(バーチャルライバーグループ)『にじさんじ』の剣持刀也さんや、声優の伊東健人さんのファンです。アニメも大好きで、グッズを集めたりコラボカフェに行ったり、すっかり“アニメ沼”にはまっています」と、くしゃっとした笑みを浮かべる。

 デビュー以来、自身の目標をつづる「夢ノート」を作っており、声優挑戦は「20代半ば」で達成したい目標として書き留めていた。

 「最初はオーディションを受けられるだけでもうれしかったけど、審査が進むにつれて『絶対受かりたい!』という気持ちに変わっていきました。なので、結果が出るまで、ご飯が喉を通らないくらい、ずっと緊張していて。事務所から合格の知らせを聞いた時は夢のようで、うれし涙が出ました」

 演じたトツ子とは同世代。アフレコでは思春期ならではの葛藤に共感し「役を作り込むよりは、今の自分が抱いている等身大の気持ちで吹き込みました」。作品は、第26回上海国際映画祭のアニメーション部門で最優秀作品賞の「金爵賞」を受賞するなど、国内外で反響を呼んでいる。

 トツ子ら少年少女がバンド活動に熱中し、青春のきらめき溢(あふ)れるシーンの連続が見どころ。鈴川の歌唱シーンも好評で「監督から『ノリノリで歌っちゃってください』と言われ、最初は気恥ずかしさもありました」と回想。それでも、心の底から湧き上がる感情を歌に乗せ「踊りながら振り切って歌いました。監督も笑ってくださり自信になりました」と手応えを得た。

 アフレコは別々だったが、トツ子が通うミッションスクールのシスター日吉子の声を務めた女優・新垣結衣(36)と対面する機会もあり、「『テレビで見ている方だ!』って感動しちゃいました。日吉子さんのような神秘的なオーラがありました」と瞳を輝かせる。

 女優としての飛躍を目指し、多くのオーディションに挑戦するなど試行錯誤の日々を送っている。アフレコから時間が経(た)った今も、トツ子に背中を押されている感覚がある。

 「好きなものに真っすぐで、やると決めたことに突き進むトツ子を見習いたいし、日々勇気づけられています。お仕事でいろんな方にお会いすると、自分の足りない部分を痛感して落ち込んだりもしてしまって…。だけど、そこも含めて自分らしい魅力なのかもしれないなと、ポジティブに認められるようになりました」

 「夢ノート」につづられた最大の目標は「朝ドラヒロインになること」。トツ子は自身の「色」が見えない役柄だが、「私も自分の色を模索中。だからこそ、いろんな役に挑戦していろんな色に触れていきたい」と、彩り豊かな女優人生をまい進することを誓った。

 ◆「きみの色」 主人公トツ子(声・鈴川)は、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみ(声・高石あかり)、街の古書店で出会った音楽好きの少年・ルイ(声・木戸大聖)とバンドを組むことになる。それぞれ悩みを抱える3人は音楽で心を通わせ、友情とほのかな恋のような感情が芽生え始める。101分。

 ◆鈴川 紗由(すずかわ・さゆ)2005年12月27日、和歌山県生まれ。18歳。20年、オーディションを経て「ユニバーサルミュージックアーティスツ」に所属。23年、テレビ東京「クールドジ男子」でドラマ初出演。同年公開の「女囚霊」(鳴瀬聖人監督)で映画初出演。主な出演作は「どうする家康」(NHK)、「墜落JKと廃人教師」(MBS)など。身長152センチ。

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