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今季初の中4日で先発・戸郷翔征3年連続10勝は「スミ1安打完封リレー」巨人初のレア記録

スポーツ報知 2024年9月6日 5時0分

◆JERA セ・リーグ 巨人3―0ヤクルト(5日・岐阜)

 巨人がエースと4番の活躍でヤクルトを下し、連敗を2でストップ。広島が敗れ、6日ぶりの首位に返り咲いた。今季初めて中4日で先発した戸郷翔征投手(24)は許した安打が初回先頭のみ、7回無失点の快投で3年連続2ケタとなる10勝目。両軍無得点の5回2死一、三塁から岡本和真内野手(28)が右越えに6試合ぶりの先制22号3ランを放ち、同一カード3連敗を阻止した。6日の移動日を挟み、7日からDeNA2連戦(東京D)に臨む。

 難攻不落とされる岐阜城のごとく、戸郷がツバメ打線の前にそびえ立った。そして8月30日以来の首位にも立った。今季初の中4日&地方球場でも圧巻の7回1安打無失点、7奪三振。魂の103球でチームの連敗を2で止めた。球団では17~20年の菅野以来となる3年連続2ケタ10勝目。お立ち台では、左翼後方の金華山に立つ同城からの景色ばりに?壮観なスタンドを見渡し声を張り上げた。

 「必死にやった結果が1安打に抑えられて、勝ちがついて、10勝して、最高です。他の9勝分とは違う重みですし、上には菅野さん(13勝)がいるので、何とか追いかけて頑張ります」

 「初回から飛ばしていくつもりで」と気温30度前後の暑さにも負けず、最速150キロの直球を軸に押した。安打は初回先頭・西川の右前打だけ。4回1死一塁では4番・サンタナに6球連続直球で、8球目にフォークで空振り三振に斬り「真っすぐで押せたところが打ち取れた要因だと思いますし、それを引き出してくれた大城さんのおかげ」と女房役に感謝した。6回を終え95球だったが、7回も続投し、仕事を果たした。

 送り出した阿部監督は「真っすぐを要所でしっかり使えていた」と称賛し「(エースと4番で)それしかないっていう勝ち方。途中で『1―0でしか勝てないよ』と戸郷にプレッシャーをかけちゃったんだけど、よく頑張ってくれた」と目尻を下げる。エースも「監督も気合が入っていたので僕もそのつもりでいきましたし、カツを入れてもらったんで何とか勝てて良かった」と安堵(あんど)した。

 中4日での登板は22年6月以来で、過去に3度経験。通算1勝0敗だったが、最長5回、球数も最多は88だった。調整期間はサウナの交代浴の時間や回数を延ばし、登板2日前のブルペンにも入らないなど疲労回復を最優先に努め「何球でもいける調整」を見事に体現した。

 自身の投球はもちろん、相手、自軍の2、3軍など多岐にわたり映像を見ることで知られるが、原点は聖心ウルスラ学園時代。「それまで自分の撮ってもらった映像ばかり見ていた。そこまで人の映像に興味がなかった」が、高校での方針から映像を通じ相手打者の研究をするようになり、今では両リーグの投手もチェックするなど体のケアと並行して、準備と進化を常に追い求めている。

 継投では球団史上初の「スミ1安打完封」も記録。セ界の頂に立つべく、次回は中6日で12日の広島戦(マツダ)への出撃を予定している。「本当に勝つしかないんで、何とかいいゲームを見せられるように頑張ります」。熱き天王山へ。エースの意地を見せる時が来る。(田中 哲)

 【高木豊Point】戸郷は負けられないゲームというプレッシャーの中、直球中心に堂々たる投球だった。その上で、試合に入る前に入念な計算をしていた。4回のサンタナには7球、真っすぐなどで押してから最後はフォークで仕留め、5回1死二塁での沢井に対しては、打球を前に飛ばされたくないため5球連続フォーク勝負で三振。一つのしくじりもない、さすがエースという内容を見せてくれた。(スポーツ報知評論家)

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