◆米大リーグ カブス12―0パイレーツ(4日、米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド)
カブスの今永昇太投手(31)が4日(日本時間5日)、本拠のパイレーツ戦で先発し、日本人では初めて継投ノーヒッターを達成した。7回95球無安打2四球7奪三振と圧巻の投球で12勝目。リリーフのN・ピアソン(28)、P・ホッジ(23)が1回ずつ無安打でつないだ。カブスの継投ノーヒッターは2021年6月24日のドジャース戦で4投手で達成して以来。またルーキーイヤーでの12勝は、昨季のメッツ・千賀滉大投手(31)に並ぶ日本人歴代7位となった。
7回2死。リグレーフィールドの大歓声の中、今永がこん身の一球を投じた。フルカウントからの6球目、91・1マイル(約146・6キロ)の直球をパ軍トリオロに振らせて、この日7つ目の三振。普段はクールな左腕が「よっしゃ!」とグラブをたたいた。今季前半の活躍をほうふつさせる快投。本拠の大歓声を背に、ダッグアウトに下がった。
ノーヒッターまであと2イニング。だがカウンセル監督からの指示は交代だった。ワイルドカード圏まで4・5差。ポストシーズン(PS)進出を見据え「次の試合も、その次の試合も、良い状態を保ってもらいたい」という指揮官に、今永も「僕もまったく同じ考えなので監督に従いますという形で降板しました」。8、9回も今永が生んだ流れに乗って、リリーフの2人が1イニングずつ無安打投球。8回にマウンドに上がったピアソンは、今永のノーヒッターを期待していた地元ファンからブーイングされて驚き「そこで何かが起きていたことを知った」と気合を入れ直し、球団史上2度目の継投ノーヒッターを完成させた。
DeNA所属の22年に日本ハム戦でノーヒッターを達成しており、日米ノーヒッターの可能性もあったが、全く自覚はなかった。初回の三塁内野安打が、送球エラーに変更されたことを知らず「ベンチ裏で監督から教えられて、思わず『えーっ?』と声を出してしまった」という。それほど目の前の打者に集中していた。
カブスのノーヒッターは球団史上18度目。本拠リグレーフィールドでは72年9月2日にM・パパスが達成して以来、52年、半世紀以上ぶりだった。「先発の自分よりリリーフでマウンドに上がる彼らのほうが、プレッシャーがかかる。そこを抑えた彼らと、リードした(捕手の)アマヤと、守ったみんなにはすごくリスペクトの気持ちがある」と今永。チームは直近13試合で10勝。ノーヒッターを捨てて選んだ、PS進出という大きな目標へ、今永はなくてはならないピースとなっている。
◆日本人投手の無安打無得点&ノーヒッター未遂
【ノーヒッター】
▽野茂英雄(ドジャース、Rソックス=2度)96年9月17日・ロッキーズ戦、01年4月4日・オリオールズ戦
▽岩隈久志(マリナーズ)8月12日・オリオールズ戦
【ノーヒッター未遂】
▽前田健太(ツインズ)20年8月18日・ブルワーズ戦=8回まで
▽黒田博樹(ドジャース)08年7月7日・ブレーブス戦=7回まで
▽ダルビッシュ有(レンジャーズ)13年4月2日・アストロズ戦=9回2死まで完全、同年8月12日・アストロズ戦=8回1死まで
▽大谷翔平(エンゼルス)22年8月29日・アスレチックス戦=8回2死まで