◆第１３回ＢＦＡ Ｕ１８アジア選手権▽２次リーグ 日本１―０台湾（６日・天母野球場）
【台北（台湾）６日＝加藤弘士】１次リーグ（Ｌ）Ｂ組１位の高校日本代表が、Ａ組１位の台湾との投手戦を１―０で制し、２次Ｌの成績を２勝０敗として決勝進出へ前進した。ともにプロ注目の藤田琉生（東海大相模３年）、坂井遼（はる、関東第一３年）が２安打の完封リレー。打線は０―０の６回無死一、三塁、２番・浜本遥大（広陵３年）が投前へ決勝スクイズを決め（記録は犠打野選）、１安打で勝利した。日本は７日の日本時間１９時３０分から、韓国と対戦する。
ようやく心から笑えた。台湾に１―０で勝利。藤田はナインとハイタッチを繰り返した。大一番の先発で５回途中を２安打無失点。充実の表情で言った。
「最初から投手戦になることは分かっていた。この３年間やってきた、粘りの投球ができたと思います」
坂原秀尚コーチ（下関国際監督）から「ラスト登板のつもりで投げろ」と送り出され、初回から飛ばした。１９８センチの長身から繰り出す最速１４９キロの直球にナックルカーブを操り、緩急で幻惑した。ドジャース入団が決まっている３番のコ・チンシェンからは２三振を奪った。「知ってました。特に意識は。同じ高校生なので」。５回２死一、二塁のピンチで２番手の坂井に託したが、ベンチでも大きな声で仲間を鼓舞した。
今夏の甲子園で１球の大切さを学んだ。準々決勝の関東第一戦。６回まで無失点も７回先頭、４番の高橋徹平に初球チェンジアップを左翼席へ運ばれ、涙した。失投を防ぐ意識が高まった。台北の宿舎では滑りやすい国際球を常に握って対応。客席から見つめた元バレーボール選手の母・賢枝さん（４３）に感謝の熱投を捧げた。
ネット裏の各国スカウト陣も熱視線を送った。あるメジャースカウトは「今後しっかり育成されれば、将来はＭＬＢでもやれる」と将来性に太鼓判を押した。「この先、プロでも侍ジャパンになれるように、頑張りたい」と藤田。球数制限もあり、今大会はお役ごめん。残り２試合。大会史上最長身のバット引きとして、アジアの頂点へ貢献する。
◆藤田 琉生（ふじた・りゅうせい）２００６年１１月１７日、神奈川・藤沢市生まれ。１７歳。小学１年から軟式の羽鳥ファイターズで野球を始め、羽鳥中では湘南ボーイズでプレー。３年時に日本一。東海大相模では１年秋からベンチ入り。３年春からエース。今夏の甲子園では２１回１／３で自責点２の好投を見せ８強に貢献。１９８センチ、９６キロ。左投左打。
記録メモ ▼１安打勝利 日本が台湾に１安打勝利。これでＵ１８アジア選手権の台湾戦は、通算１０勝６敗。完封勝ちは１６年決勝以来、３度目だ（Ｕ１８Ｗ杯は通算４勝３敗、完封勝利１度）。
１安打はＵ１８Ｗ杯、アジア選手権での高校日本代表４度目の最少安打。その試合の勝敗は、Ｕ１８Ｗ杯が０４年決勝●０―４キューバ、２２年スーパーＲ○１―０オランダ（５回降雨コールド）、昨年１次Ｒ●０―１オランダ。Ｕ１８アジア選手権では初で２２年Ｗ杯以来、２度目の勝利になった。