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異色の現役医学部生&右玉イケメンが将棋のプロ棋士に 獺ケ口笑保人三段、吉池隆真三段が昇段

スポーツ報知 2024年9月7日 20時7分

 将棋の棋士養成機関「奨励会」の第75回三段リーグ最終節の対局が7日、東京・渋谷区の将棋会館で行われ、15勝3敗の獺ケ口笑保人(おそがぐち・えほと)三段(24)と14勝4敗の吉池隆真(りゅうま)三段(19)が四段昇段(プロ入り)を決めた。10月1日付で正式に昇段する。次点は齊藤優希三段となった。

 森信雄七段門下の獺ケ口は群馬大医学部4年の現役医学部生。将棋のプロ棋士で医学部生は初とみられる。笑保人という名前には「笑いを保つ人」という意味と「エフォート(努力)」という意味が込められているという。この日は1局目で敗れながらも2局目に勝利。自力で昇段を決めた獺ケ口は「うれしい気持ちでいっぱいです」と喜びを口にした。

 「最初は将棋で生きていくと思って」奨励会入り。ただ、「年齢として現実的に棋士になるのがきびしいのかなと思った。小さい頃からぜんそくで、医師と接する機会が多く、医師は責任も重いので、将棋をやめて一生をささげるならと」と2浪して同大に入学し医学部に進んだ。

 同門の兄弟子には大阪大学文学部哲学科から同大学院博士前期課程修了という、こちらも異色の経歴を持つ糸谷哲郎八段がいる。6年生での医師免許取得を目指しており、現在は精神科学の分野の研究を専門としているが、当分は医師と棋士との二刀流で頑張るつもりだ。「糸谷先生の両立している姿はすごく意識していた。私もやってみようかなと思った」と決断の後押しとなったことも明かした。

 一方の吉池は前期に若手の登竜門棋戦・加古川青流戦決勝で現役最年少棋士の藤本渚五段と戦い、準優勝の経験を持つ実力者。室岡克彦八段門下では初の棋士となる。この日2連勝で昇段を決め、「色々な方に報告してすごく喜んでいただけているので、これからも頑張っていきたい」と喜びを口にした。棋士としては「自分は力戦形を指していて、そういう将棋ならではの、人に見てもらえるような引きつけるような将棋をこれからプロになっても指していきたい」と話し、尊敬する棋士には研究会を行っているという永瀬拓矢九段を挙げた。

 一つ年下の藤本からは得意戦法の右玉に由来した「右玉イケメン」と称されている。普段から練習将棋をする間柄である藤本はこの日、東京将棋会館に駆けつけ、吉池の昇段を祝った。吉池は藤本について「相当活躍されている姿を見てきて、自分もその舞台に立ちたいと思って来た。藤本さんはすごく謙虚で優しい方で、それが自分はほんとにうれしくて。同世代のプロが少ないので、一緒にお話ししていただけるのがうれしい。追いつきたいと思っていた。(プロ棋士という)同じ舞台に立ててうれしい」とやわらかくほほえみながら話した。(瀬戸 花音)

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