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先発8度未勝利右腕を初勝利に導いた巨人・阿部監督の「親心」 投手コーチだけに打ち明けた胸の内

スポーツ報知 2024年9月17日 5時30分

◆JERA セ・リーグ 巨人7―1中日(16日・東京ドーム)

 やっとの思いでつかんだ。赤星は、お立ち台で頬を緩めた。今季チーム131試合目、9度目の先発で初勝利。前回勝利の昨年10月3日からは349日がたっていた。「勝ちを気にせず行けるところまでと。その結果勝てたので良かったです。今までは打たれたくない気持ちが先行して厳しいところに投げていたんですけど、ゾーン内に思い切り投げました」。優勝争いの中でチームにも大きな1勝だった。

 約1か月半ぶりの先発。杉内投手チーフコーチからは初回から飛ばす意識を、内海投手コーチからはストライクゾーン内での勝負を改めて説かれた。その結果、最速151キロの直球中心に5回まで1安打のみ。2―0の6回は先頭・板山にソロを浴び、投手・松木平に3ボールスタートだったが、踏ん張って6回3安打1失点、7奪三振にまとめた。

 試合前まで救援含め19登板で0勝7敗、防御率3・36。阿部監督は練習前、両投手コーチに「赤星に何とか1勝させたい」と、公には秘めていた胸の内を明かしていた。指揮官の“親心”に両投手コーチが助言で応え右腕を奮い立たせた。

 阿部監督は赤星を後半戦のキーマンにも指名。後半戦開幕投手に抜てきした。その2日前には「『お前が3勝か4勝したら優勝できる』」と声をかけていた。ようやく首脳陣の期待に応えた白星。指揮官は試合後、「(被弾直後の3ボールに)『僕動揺していますって見せてどうすんだお前』と言ったんだけど。そこを乗り越えたのでね。大きな1勝になったと思います」と目尻を下げた。

 白星に恵まれない日々が続いたが、仲間に感謝される存在の一人になっていた。移籍1年目の泉とは休日も連絡を取り合い、サウナなどに出かけることもある。泉は「プライベートでも一緒にいる時間が(序盤よりも)増えた」。まだ3年目25歳だが、新加入選手に溶け込みやすい環境を作れる性格で愛されている。

 「1勝したからどうとかはないですけど、これを続けていけるように。ここから3~4勝できるように頑張ります」。長いトンネルを抜け出した男が、先発でも救援でも、チームの優勝のために赤星は働く。(田中 哲)

◆直球の強さ際立っていた…清水隆行Point

 赤星はストライクが先行してナイスピッチング。何よりもストレートの強さが際立っていた。初回の福永の打席。フルカウントから2球、真っすぐを続けて空振りの三振に取った。これまでは球種が豊富で、器用に投げ分ける投手の印象だったが、この日は行けるところまで全力で行こうという気持ちが表れていた。今季初勝利を内容のある形で飾った。山崎伊が抹消中で、次の先発もあるだろう。(野球評論家・清水 隆行)

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