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「完璧。これだ」大の里が新大関昇進の口上で使った四字熟語は父の口癖だった

スポーツ報知 2024年9月26日 6時0分

 日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で大相撲九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)の番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇・大の里(24)=二所ノ関=の大関昇進を満場一致で決めた。大関昇進は初場所後の琴ノ若(現琴桜、26)=佐渡ケ嶽=以来。大の里は大いちょうの結えないちょんまげ頭で茨城・阿見町の二所ノ関部屋で行われた伝達式に臨み、口上では「唯一無二」の四字熟語を入れて決意を語った。初土俵から所要9場所という昭和以降最速の大関昇進を果たした大器は、早ければ25年1月の初場所後となる昭和以降最速横綱昇進を目指すことを誓った。

 額に汗を浮かべ、こわばった面持ちで大の里はその時を待った。午前10時過ぎ。茨城にある二所ノ関部屋で、協会の使者である出羽海理事(元幕内・小城乃花)と放駒審判委員(元関脇・玉乃島)から大関昇進を伝えられた。192センチ、182キロの大器は「大関の地位を汚さぬよう、唯一無二の力士を目指し、相撲道に精進します」と口上を述べた。史上初めて大いちょうの結えない、ちょんまげ大関が誕生した。

 悩んだ。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の11年九州場所後の大関昇進伝達式は、「大関の名を汚さぬよう、精進します」とシンプルだった。大の里はそれを踏襲することも考えたが、新潟・能生中、海洋高時代の恩師・田海哲也総監督(63)に相談。同氏から、父の中村知幸さん(48)が時折口にする「唯一無二」を使ってはどうかと提案され、「完璧。これだ」と即決したという。

 親方は「僕も好きな言葉なので良かった。大の里の相撲スタイルは唯一無二。昔(の力士)で例えてもいない。ピッタリ」とうなずいた。大の里は「他に類をみない、このような人が現れないというくらいのお相撲さんになりたい」と説明。初土俵から7場所目での幕内初優勝、所要9場所での大関昇進も昭和以降最速。空前絶後の結果を出し続ける24歳を表す4文字だった。

 関係者によると、大いちょうが結えるのは来年1月の見込み。日本出身横綱は二所ノ関親方が19年初場所に引退後は不在だが「もう一度、伝達式ができるチャンス。もう一回やりたい気持ちになったので、自分で勝ち取りたい」と、大の里は横綱への熱い思いも語った。11月の九州場所、来年初場所と優勝、またはこれに準ずる好成績を残せば所要11場所での横綱昇進となる。目指すは昭和以降では羽黒山、照国の所要16場所を抜く最速横綱昇進だ。ちょんまげ大関は“我が道”を貫き、歴史をさらに塗り替えていく。(山田 豊)

 ◆大の里 泰輝(おおのさと・だいき)

 ▽本名・中村泰輝

 ▽生まれ 2000年6月7日、石川・津幡町

 ▽相撲歴 小1から相撲を始め、新潟・能生中、同・海洋高を経て日体大。1年で学生横綱。3、4年時には2年連続のアマチュア横綱に輝いた

 ▽入門後 二所ノ関部屋に入門し、昨年夏場所で幕下10枚目格付け出しでデビュー。同秋場所で新十両。初場所で、昭和以降3位タイのスピード記録となる所要4場所で新入幕。夏場所で最速となる初土俵から7場所でのV

 ▽三賞 1947年に三賞の制度が制定されてから初めて新入幕から5場所連続の三賞受賞。技能賞、敢闘賞が3度、殊勲賞が2度。

 ▽阪神ファン 家族全員が虎党。昨年18年ぶりにリーグ優勝したときには「ビールかけが印象に残った」

 ▽パリ五輪代表が同学年 レスリンググレコローマン77キロ級金メダルの日下尚は日体大の同級生。柔道男子90キロ級銀の村尾三四郎は小6のわんぱく相撲大会で対戦。上手投げで敗れた

 ▽好きな食べ物 ウニなど魚介類

 ▽好きな歌手 湘南乃風。愛知・一宮市で行われた春巡業では「純恋歌」をファンの前で披露

 ▽得意 突き、押し、右四つ、寄り

 ▽身長・体重 192センチ、182キロ

 ▽家族 両親と妹

 ◆大関に昇進すると

 ▽月給 250万円で三役から70万円アップする。横綱は300万円。

 ▽降下 2場所連続の負け越しで関脇に陥落。その翌場所で10勝以上すれば大関に復帰。

 ▽待遇 通例で年3回の東京場所は自家用車で両国国技館の地下駐車場まで入れる。飛行機はファーストクラスで新幹線はグリーン車。

 ▽化粧まわし 房に位の高さを表す紫色が使用可能。

 ▽横綱昇進 2場所連続優勝か、それに準じる成績。

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