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「出番は必ず来ると思って待っていてほしい」 優勝の巨人阿部監督 開幕前に語っていた“鍵を握る存在”〈再録〉

スポーツ報知 2024年9月28日 21時38分

 巨人が4年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた。阿部慎之助監督は就任1年目でのV。捕手出身の新人監督では初の快挙となった。

 阿部監督がシーズン前に語っていた開幕へ向けた心境を再録する。(一部抜粋)

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 巨人は本拠・東京ドームで昨年日本一の阪神に挑む。阿部慎之助監督(45)はスポーツ報知のインタビューに応じ、就任1年目の現在の心境を激白した。球団創立90周年の節目に、初めて指揮を執る青年監督は「選手は喜怒哀楽を出していい」と熱く戦うことを約束。バッテリー中心に守り重視の野球で頂点を目指す。「やってやろうじゃないの!」と力強く意気込みを語り、4年ぶりリーグ優勝、12年ぶり日本一に向けて決意を語った。(取材・構成=片岡優帆)

 新たな旅のスタートラインに立った。阿部監督は高揚感を抱きながら、東京Dの開幕前日練習をどっしり見守った。昨年10月4日、シーズン最終戦後のセレモニーで原前監督にバトンを託されて177日。やるべきことは全てやってきた。

 「ここまで早かった。ということは、すごく充実していた証拠だと思う。今はワクワクしている」

 昨年の阪神戦は6勝18敗1分け。惨敗したイメージを払しょくするためにも重要な開幕3連戦になる。

 「今年を占うような大事なゲームになると思う。全力でぶつかっていきたい」

 開幕3日前、心を鬼にして2軍再調整を命じた新外国人のオドーアが、本人の希望で電撃退団した。2年連続4位からの頂点を目指す航海。順風満帆なことばかりではないが、どんな荒波が来ても前進する覚悟だ。

 「すんなりいかないこともあると思うけど、どんな時も前向きに考えて、工夫しながら乗り越えていきたい。1か月で2、3個貯金をつくれたらうれしいかな」

 近年はシーズン終盤に失速。その反省から「勝負は8月9月」と右肩上がりの戦い方が理想。厚みが増した投手陣は大勢、中川、西舘、バルドナード、ケラー、堀田、船迫、赤星、松井のリリーフ9人で開幕を迎えるが、全員で戦う考えだ。

 「投手は特に夏場バテるだろうし、そういう時にどうするかが重要だと思っている。だから2軍にいる人たちも出番は必ず来ると思って待っていてほしい」

 2月は異例の春季キャンプ限定キャッチフレーズ「笑うアベには福来たる」を掲げて明るい雰囲気に改革。選手にはシーズン中も熱く戦うことを求める。

 「選手は喜怒哀楽をどんどん出していい。打てなかったら思い切り悔しがればいい。それで気が済んでスイッチ切り替えられるならいくら怒ろうがいいよ」

 昨年は淡々と進む試合が多く、勝負どころで力が出なかった。悪い流れを引きずらないためには、気持ちの切り替えの早さが重要だ。

 「いい時は何をやってもいいわけで。大事なのはダメな時にどういう心構えでプレーするか。みんな同じ方向を向いてできたら大型連敗はしないと思う。もしかしたら『よしっ今日はホテルにいるんじゃない!』と言う時もあるかもしれない。外食して発散して、その代わり明日バチッと切り替えていこうぜ、っていう日もつくるかもしれない」

 監督としては「怒」の感情は抑え、選手がのびのびプレーできる環境を作る。

 「心の中でカッカしていても表には出さないかな。監督の言葉で選手をどう操縦していくかが大事だと思うし、試合後のコメントでも選手を否定するんじゃなくて、明日ヒーローになれるチャンスがあるのがプロ野球なんだから奮起を期待したいと言ってみたり。ポジティブにいきたい」

 球団90周年のスローガンは「新風」。挑戦者の精神で色紙には「やってやろうじゃないの!」と記し、ファンにメッセージを送った。

 「少しでもジャイアンツ変わったなと言ってもらえるように愛される巨人軍、強い巨人軍を目標に掲げています。そのためには勝たないといけないと選手も自覚しています。その姿を温かく見守ってほしいです」

 最高のセプテンバー(9月)へ。阿部新監督率いる新しい巨人が夢と希望を乗せて船出する。(2024年3月29日掲載)

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