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「幸せな気持ち」大谷翔平が念願のシャンパンファイトに笑顔 世界一見据え「気を緩めることなく、最後まで駆け抜けたい」

スポーツ報知 2024年9月28日 4時0分

◆米大リーグ ドジャース7―2パドレス(26日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)が26日(日本時間27日)、メジャー7年目にして初めて地区優勝をつかみ取った。王手がかかった本拠地・パドレス戦に「1番・DH」でフル出場。同点の7回1死一、二塁の4打席目に決勝の右前適時打を放つなど、5打数3安打1打点の大暴れで3年連続地区Vに大きく貢献した。試合後には歓喜のシャンパンファイトに参加。ワイルドカードゲームはシードされ、10月5日(同6日)初戦の地区シリーズから世界一を目指す。

 ほえた。大谷は優勝がかかる大一番で決勝打を放って試合を決めると、何度も叫んだ。昨年3月20日(日本時間同21日)のWBC準決勝・メキシコ戦を思い返すようにベンチへ向かって「カモーン!」と連呼。苦しみ、もがき、悩んでたどり着いた地区優勝に「今日決められて、ホームで決められて最高です!」と興奮を抑えられなかった。

 最高の場面を迎えたのは同点の7回1死一、二塁の4打席目。5万2433人が集まった本拠地のボルテージが最高潮になった。余計なことは一切、考えていなかった。「本当にヒットを打つことだけ考えた。他の打席とやることは変えずに、自分の打席に集中しようと思っていた。集中しすぎて緊張してるとかどうのこうのというのはあまり考える感じではなかった」

 極限まで集中力を高め、左腕・スコットの外角スライダーに食らいつき、決勝の右前適時打。打球が一、二塁間を抜けたのを確認すると右拳を強く握り、相手の守備が乱れる間に二塁まで進み、両手を上げて、喜びを爆発させた。

 こんな戦いを求めていた。エンゼルス時代には6年間優勝やプレーオフ争いとは無縁。チームの中心選手になったからこそ、21年には「もっと楽しい、ヒリヒリするような9月を過ごしたい」思いが日増しに募った。個人記録が伸びるのにチームが下降線をたどる現実がもどかしかった。

 勝つことの高揚感を再確認したのは23年のWBC。侍ジャパンで、初対面の選手も多い中で世界一に貢献した。「これぞ野球だなという雰囲気を味わえた」。1球1球で高まる緊張感、チームで勝利に向かう一体感、頂点に立って浴びたシャンパンの味―。久々の感覚がたまらなかった。だからこそ優勝を決めた直後にも「通過点」として、再び世界一を狙うことを自らに誓った。

 FAではマイナーを含めた若手の育成システムも見て、ドジャースに決めた。史上最高額の10年総額7億ドル(約1022億円=契約発表時のレート)という大型契約。重圧もあり、3月の開幕直後にはまさかの形で水原元通訳との別れもあった。それでも2月に結婚を発表した真美子夫人、愛犬・デコピンの存在も、大きな支えとなり「すごく『ああ、いてくれてよかったな』って思う時はあった」と、ふと口にしたこともあった。

 首位攻防だったパドレス戦も初戦こそ落としたが、2戦連続で大谷が勝ち越し打。この日も5打数3安打1打点で、MLB23年ぶりに400塁打を達成し、直近7試合で打率6割9分、5本塁打、16打点、7盗塁と終盤の勝負どころでさらにギアを上げた。53本塁打、126打点の2冠王、2年連続のMVPは確定的で、56盗塁は日本人最多タイ記録。前人未到の「50―50」を達成するなどマウンドには上がらずとも、リーグ最強打者であることを証明しながら、チームを救ってきた。

 試合後にはシャンパンファイトで美酒を浴びてびしょぬれとなり「ずっとやりたいなと思ってきたので幸せな気持ちです。あとまだまだ何回もできるように」と最高の笑顔を見せた。次に狙うは世界一。「気を緩めることなく、最後まで駆け抜けたいですし、その先を見据えながら頑張りたい」。シーズン残り3試合を終えると初のポストシーズン。大谷が目指すワールドシリーズ制覇まで、残り11勝だ。(安藤 宏太)

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