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日本バドミントン協会の村井満会長「私の責任」 相次ぐ国際大会エントリーに関する不手際を説明

スポーツ報知 2024年10月1日 12時7分

 日本バドミントン協会が1日、2028年ロサンゼルス五輪などを見据えた強化本部説明会見を東京都内で開いた。村井満会長が会見の中で同協会による国際大会の出場選手エントリーミスについて「ヒューマンエラーが放置されている状態を認識しながら、会長自ら直接、指揮を執れば良かったが、コーチングスタッフの現場は任せるけど、代表総務の改革が放置されていたことは、私の責任だと思う。今後は私自身も関与していく。危機感を感じている」と言及した。

 同協会は9月13日に女子ダブルスの五十嵐(旧姓・東野)有紗(BIPROGY)、桜本絢子(ヨネックス)組の所属先から依頼を受けていたデンマーク・オープン(今月15日開幕)出場に向けた手続きに誤りがあり、エントリーが漏れていたと発表していた。この日、新たに男子シングルスの斎藤駿、同ダブルスの目崎駿太郎、藤沢佳史組(いずれもトナミ運輸)の所属先から依頼を受けていたベンディゴ国際(9~13日、オーストラリア)のエントリー手続きを誤って行っていなかったことを明かした。

 前述の2件のミスについて、出井宏明企画本部長が説明。これまでは協会の強化本部の中の代表総務チームが国際大会の登録手続きを担当した。海外派遣には協会による派遣と選手が自費で参加する自費ないし協会と共同派遣の2つがあった。今回の2件は共同派遣だった。

 これまでのエントリー手順としては

〈1〉所属先からエントリー申し込みをメールで受ける

〈2〉代表総務チームの担当者がメールをもとにエントリーリストを作成

〈3〉担当者がリストをもとに世界バドミントン連盟(BWF)に申請

〈4〉BWFから登録完了のメールが届く

〈5〉担当者がBWFのメールの内容を確認のために所属先にも送る。だが、今回は工程通りにいけば、〈5〉で担当者と所属先で二段階の確認を行えるところが、所属先への連絡のメール内容にもミスがあったため、二段階のチェックを行えなかった。

 これを受け、協会は9月24日に過去1年間に国際大会へのエントリー実績のあるチーム責任者と対策会議を開いた。

 要因について2つの見解を示した。確認機能が不十分で責任が曖昧なことが1つある。1つは申し込み受付、変更、取り消し、集約、世界バドミントン連盟への申し込みを全てメールや手作業で実施しており、ミスが生じやすい。手作業に起因し、各工程で申し込み側にも確認を依頼するが、任意とし、責任の所在が曖昧。2つ目に締め切り後のイレギュラーな申請に多く対応してきた。締め切り間際や過ぎた後に変更や取り消しを代表や所属先から依頼され、慌ただしくなることが多い。また、メールにベタ打ちや口頭で変更の依頼を受けることがあり、確認作業に影響を及ぼしている。

 また、朝倉康善副会長兼強化本部長によると、これまで代表総務チームは別の仕事を抱えながら担当した者が1名、パート職員を含めて平均1・4人で対応してきたという。

 応急対策としてチームの人数を3~4人に増やして作業する。さらにこれまでは協会内の強化本部が束ねていた代表総務チームだが、編成を見直し、村井会長、朝倉副会長の直下に置く。また、今後のシステム化を見据えた上で具体的に4つの改善策を挙げた。

〈1〉協会内に国際大会エントリーに関する専用のアドレスをつくる。

〈2〉複数チェックを行うため、メール受信者に朝倉強化本部長とスタッフ2人を追加し、複数チェックを行う。

〈3〉世界バドミントン連盟からのエントリー結果通知を所属先にも送り、クロスチェックを行う。

〈4〉所属先からの依頼の締め切りを徹底させる。

 出場を予定していた国際大会に出場できなかったことで、選手は世界ランキングに関わるポイントを得られず、強化計画に影響を及ぼす可能性がある。今夏のパリ五輪で日本勢は2つの銅メダルを獲得。28年ロス五輪に向け、早期の改善が急務になっている。

 

 ◇日本協会の不手際 

 ▽22年8月 ジャパン・オープンにおいて、混合ダブルスの緑川大輝、斎藤夏組の選手エントリー時に斎藤の登録名を誤って、女子シングルスの姉・栞で登録。申請間違いにより、同ペアは大会に出場できなかった。

 ▽23年7月 カナダ・オープンに出場予定だった女子シングルスの大堀彩が、入国手続きで協会側にミスがあり、欠場。協会が代表選手の入国手続きをオンラインで行った後、大堀には健康診断書類を追加で提出するように求められていたが、見落としていた。パリ五輪選考レース中だった。

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