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森保一監督が語る選手の見極め 糸井重里さんと一致した機械にはできない発見とは…特別対談(13)

スポーツ報知 2024年10月15日 12時0分

 サッカー日本代表の森保一監督(56)と、コピーライター・糸井重里さん(75)のスペシャル対談。第13回は「選手の見極め」。監督・スタッフによる選手の情報収集は、機械にはできない発見があると両氏の意見は一致した。(取材・構成=星野浩司)

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糸井さん「選手の調子やけがなどデータはどうインプットしてるんですか?」

森保監督「映像で見ていることが一番多いです。現地に行ける回数は国内外で限られている中で、選手が試合を終えて数時間後には映像を見られるので、コーチでグループ分けして見てくれて、私は全体をできるだけ見まくる感じです」

糸井「忙しいですね。機械に代わってもらうわけにいかないですもんね」

森保「代わってもらえるならば、代わってほしいと思いますけど(笑い)」

糸井「輝きだとか、影を見つけるわけですよね」

森保「選手がチームでやっている戦術、個々に与えられている役割、調子の良し悪(あ)し、どう成長しているかは映像でも見続けると浮かび上がってくる。そこをコーチと話して選手選考につなげています。見たものをどうパズルのように組み合わせて出すか、考えています」

糸井「はぁ~」

森保「選択肢を多くすることは大切です。全部勝ちたいという中で、一緒に練習する時間が短い中でも想像力を持って、この組み合わせだったら試合展開はこうなると、より現実として起こり得ることを考えられるかが大切だと思います」

糸井「できてもいない映画を見て、想像して楽しんでいる、みたいなことですよね」

森保「おっしゃる通りです。映像を見ている時は目がショボショボになります」

糸井「本当に機械に代われないものを発見することが、今、とても重要な気がしますね」

森保「そうですね。主観というか、人間にしかできない感覚を持って…」

糸井「命の輝きですよね、知りたいのは、たぶん」

森保「誰にも負けないぐらい映像を見て選手を選ばないと。日本代表でプレーしたい選手たちに、失礼にならないようにしたいと思います。代表活動は10日間で2試合やって終わりというスパンの中で結果を出せるように。普段の日常をどれだけ見られるかはすごい大切だと思いますね」

糸井「練習のプログラムはあるんですか?」

森保「コーチ陣が次の試合に向けて、自チームの戦術、相手とのかみ合わせの中でどうやるか、選手の役割を練習で落とし込みます。攻撃、守備、GK、フィジカル、セットプレーとそれぞれのコーチが自分の役割からチームを勝たせられるように考えて練習、ミーティングをしてもらっています」

糸井「代表で集まる前に、選手も向上している。そこを考えるとゾッとするくらい大変なことですよね」

森保「その情報も取りながら、私自身やスタッフが選手たちの現状を聞いてチームの活動に生かしていき、つなげています」

糸井「それを(任期の)8年やる。一生がかかっているぐらい長いですね」

森保「そうですね。でも本当、充実しています」

 ◆森保 一(もりやす・はじめ)1968年8月23日、静岡・掛川市生まれ、長崎市育ち。56歳。長崎日大高から87年にマツダ(現広島)入団。92年に日本代表初選出。国際Aマッチ35試合1得点。京都、広島、仙台を経て2003年に引退。J1通算293試合15得点。05年からU―20日本代表コーチ。12年に広島監督に就任し、3度のJ1優勝。17年10月から東京五輪代表監督。18年7月からA代表と兼任監督。21年東京五輪は4位。22年カタールW杯は16強。26年W杯まで続投。家族は妻と3男。

 ◆糸井 重里(いとい・しげさと)1948年11月10日、群馬・前橋市生まれ。75歳。株式会社ほぼ日代表取締役社長。コピーライター、エッセイストとして幅広い分野で活躍。78年に矢沢永吉の自伝「成りあがり」の構成を担当。79年に沢田研二の「TOKIO」を作詞。「おいしい生活。」「不思議、大好き。」など西武百貨店やスタジオジブリ作品のキャッチコピーなどを手がけている。本紙でコラム「Gを語ろう」を連載中。妻は女優の樋口可南子。

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