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「世界を取るまでのおまけ。ハッピーセットみたいなもの」那須川天心、転向後初タイトル戦も通過点強調

スポーツ報知 2024年10月3日 6時15分

◆プロボクシング ▽WBOアジアパシフィック・バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦 同級1位・那須川天心―同級2位・ジェルウィン・アシロ(10月14日、東京・有明アリーナ)

 初タイトル戦となる14日のWBOアジアパシフィック・バンタム級王座決定戦に向け、同級1位の那須川天心が2日、都内のジムで練習を公開した。スパーリングでは世界上位ランカーを圧倒。今回の試合をマクドナルドの「ハッピーセット」のおまけになぞらえ、世界戦への通過点だと強調した。WBO世界同級王者の武居由樹(28)=大橋=からの対戦ラブコールには、「焦らないで」と風格を漂わせた。

 一気にギアを上げた。天心が公開スパーリング最後のラウンドとなった3回、WBO世界バンタム級2位のクリスチャン・ヒメネス(24)=メキシコ=を左右のフックからの連打でロープ際にくぎ付けにした。「毎日発見がある。どれだけ試合までに強くなれるか楽しみ」。7月のジョナサン・ロドリゲス(米国)戦前の公開スパーリングでは何度も押し込まれた相手だったが、神童は成長を示した。

 前回の試合でテーマにしていた「空間の支配」に、さらに磨きがかかった。足の動き、フェイントなど全身での圧力と間を使い、相手は気づけばパンチを打つことさえできなくなる。本人は「僕の中でのスタイルというか、自分の中のマジック」と表現。ヒメネスも「スピードもパンチ力も(前回より)すごく上がっている。自分が打とうとすると少し動くので(パンチを)出しにくい」と、天心の術中にはまっていた。

 転向後、初のタイトル戦に臨むが、あくまで通過点だ。「世界を取るまでの切符。手段でしかない。おまけ。ハッピーセットみたいなもの」と、子供向け玩具がついてくるマクドナルドのメニューに例えた。圧勝でベルトを奪取し、国内で世界戦を行うための挑戦資格を得るつもりだ。

 ただ、世界挑戦を急いではいない。元K―1王者で現WBO王者の武居が9月3日、初防衛に成功後「天心選手とやりたい気持ちが強い」と対戦を熱望。このラブコールには、「そういう時期が近づいているのかなと思う反面、まだ(転向)5戦目。トランキーロ(スペイン語で焦るな)」と新日本プロレス・内藤哲也の決めゼリフを引き合いに出し、「ゆっくり、焦らないで、もうちょっと待ってください」と余裕たっぷりに対応した。

 本業以外でも注目の的だ。現役ボクサーでありながら、8日から始まるTBS系連続ドラマ「あのクズを殴ってやりたいんだ」に毎話、異なる役どころで出演する。「何事も経験なんで。おいしい役をいただきました」と笑い飛ばした。

 今回の興行が「7大世界戦&那須川天心初タイトル戦」と報道されることに、「自分だけ違ってうれしい」と喜ぶ天心は、14日の第2日に登場。唯一無二の存在として、主役に躍り出る。(戸田 幸治)

 ◆ハッピーセット ハンバーガーチェーン店・マクドナルドのセットメニュー。英語圏ではハッピーミールと呼ばれている。日本では1987年から「お子さまセット」として登場し、95年6月から現在の名称となった。ハンバーガーやサイドメニューのセットに「おまけ」として子供向け玩具(キャラクターグッズ)がついてくる。ウルトラマンシリーズやポケットモンスターシリーズなどが発売され、人気を博している。

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