◆「ナミビアの砂漠」（山中瑶子監督、公開中）
ドラマ「不適切にもほどがある！」でブレイクした河合優実の快進撃が止まらない。映画「あんのこと」で、壮絶な過去を乗り越えようとする主人公を演じたかと思えば、最近はＣＭで「なんてったってアイドル」をキラキラと歌う。天性の表現者が、さらに想像を上回る怪演を見せつける映画最新作だ。
河合が演じる２１歳の主人公・カナは脱毛サロンに勤めている。全てに退屈しきったような目をしながら、時にやり場のないもどかしさを爆発させる。初監督作「あみこ」で海外映画祭を沸かせた山中瑶子監督の才気あふれる演出に乗って、カメレオン俳優という言葉では物足りないくらいの縦横無尽の演技を見せる。
おそらく一回見ただけで理解することは不可能。見るだけでもかなりのパワーを必要とするが、１３７分が長いとは感じなかった。