巨人が4年ぶり48度目(1リーグ9度含む)のリーグ優勝を達成し、球団創設90周年の節目を飾った。担当記者が選んだ各選手のベストゲームを深掘りする。
◆7月3日 巨人6―1中日(前橋)
[勝]井上3勝4敗 [敗]涌井2勝5敗
[本]ヘルナンデス5号3ラン(涌井・3回)
温かい風も、土の匂いも、全てが懐かしかった。井上温大投手は、高校まで過ごした前橋の上毛新聞敷島球場の先発マウンドに立った。「奇跡ぐらいの巡り合わせ。一生に一度しかないと思うので、抑えられるように、記憶に残せる投球をしたい」と、強く決意して凱旋登板に臨んだ。
初回の2者連続三振後、連打でピンチを迎えたが、板山を空振り三振に仕留めて波に乗った。最速148キロの直球にスライダー、フォークを駆使して、自己最多に並ぶ7奪三振。6回から3イニング連続で併殺を奪うなど、運も味方につけた。「(地元のファンに)拍手をもらって疲れを感じなかった。期待に応えようという気持ちが強くなりました」。プロ最長となる8回も無失点に抑え、97球で8回5安打0封と最高の投球を披露した。
「次も勝ちがつけられるような投球をしていきたい」。その言葉通り、この一戦以降もローテーションを死守。飛躍のきっかけとなる忘れられない登板となった。