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球界24人の選手、コーチが候補 25回目「ゴールデンスピリット賞」 11月中旬受賞者発表

スポーツ報知 2024年10月10日 12時0分

 プロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定「ゴールデンスピリット賞」が今年で25回目を迎え、候補者が出そろった。今年はDeNAを除く11球団から、24人の選手、コーチがノミネート。活動も年々、多岐にわたり、被災地支援、介助犬育成支援、小児がん医療支援、特別支援学校との交流など、多くの選手がさまざまな社会貢献に携わっている。“日本版ロベルト・クレメンテ賞”は11月中旬に発表される。

 米大リーグでは、今年も9月15日に「ロベルト・クレメンテ・デー」として、氏を追悼する行事があった。選手たちは21の背番号やワッペンをつけてプレーした。

 ロベルト・クレメンテといえば1955年からの18年間、一貫してパイレーツのライトを守った強肩強打の主だった。首位打者4回、ゴールドグラブ賞とオールスター戦出場はともに12回。66年にはMVPも獲得した。

 ちょうど3000安打で72年のシーズンを終えた後、郷里のプエルトリコに帰っていた時、ニカラグアでの大地震の報を聞いた。すでに中南米出身者の中で最大のスター選手となっていた彼は、すぐに救援物資を飛行機3機に積んで現地へ送った。そして大みそか、最後の飛行機で自らも現地に向かったが、なんということか、この機がサンフアンの海に落ちた。

 同リーグでは、彼の人道的な業績をたたえ、その死を悼んで、それまであったコミッショナー賞を「ロベルト・クレメンテ賞」と改称。グラウンド内での活躍にはMVP賞があるが、それを超えた球場外での業績を含めた球界最高の賞に、それはなった。

 これを日本に導入したのが「ゴールデンスピリット賞」だ。報知新聞スポーツ紙発刊50周年を記念して始められたが、それも今回が25回目。推薦されている候補者の数も増え、社会貢献の内容も深くなった。

 今年はどなたが選ばれるのか。発表の日が楽しみだ。(ノンフィクション作家・佐山 和夫)

【セ・リーグノミネート】

 ◆菅野 智之(巨人)

 介助犬は認知度が低く、同伴を拒否される店が多いという実情を知り、15年から支援を開始。日本介助犬協会への支援金、介助犬ユーザーとの交流、同協会のポスターや公式サイトに登場し、認知度向上にも貢献。

 ◆吉川 尚輝(巨人)

 「チャイルドドリームプロジェクト」を22年に開始。相対的貧困の子どもをなくす活動を続ける団体に寄付を行っている。また同団体の活動を体験し、PRにも協力している。

 ◆岡本 和真(巨人)

 もともと愛犬家で、飼育放棄や虐待などを受けた動物を支援する「HAPPY ANIMAL プロジェクト」を21年から開始。支援金、PR活動、チャリティーグッズ展開など幅広く支援している。

 ◆丸 佳浩(巨人)

 都内の生活困窮世帯の子どもたちの「食」を支援する「丸メシプロジェクト」を21年にスタート。支援金に加え、特製グッズの販売収益、チャリティーオークションの落札収益などを寄付し、施設の訪問も行っている。

 ◆村上 宗隆(ヤクルト)

 16年4月に熊本地震で大きな被害を受けた熊本市に対して19年から毎年、熊本城復旧への支援金を贈り続けている。本塁打1本につき1万円など、成績に応じた金額を設定している。

 ◆磯村 嘉孝(広島)

 車いす利用の家族がおり、マツダスタジアムのバリアフリーやスタッフの対応の素晴らしさを実感し、22年から車いす利用者の球場招待を始めた。また、入院患者らを元気づけるための交流会も実施している。

 ◆西 勇輝(阪神)

 オリックス在籍時の11年から「日本財団子どもサポートプロジェクト」に寄付を継続。阪神移籍後も子ども支援施設訪問や、病院への医療用マスク寄贈など幅広く活動している。

 ◆岩貞 祐太(阪神)

 16年の熊本地震を機に、地元に貢献したいとの思いから「地震復興支援」と「子どもたちへの野球振興」として、自身の成績に応じて義援金や用具寄贈を17年から行っている。

 ◆原口 文仁(阪神)

 がんを克服した経験を広める啓発活動に19年から取り組む。成績に応じた支援金に加え、主催したチャリティーマラソン大会の収益やグッズ売り上げを小児がん医療ケア施設や日本対がん協会へ寄付。

 ◆近本 光司(阪神)

 地元・淡路市在住者を20年から年間240人、甲子園球場に招待。離島支援・地方創生活動を目的とした一般社団法人の設立や、能登半島地震の被災地へのバット寄贈も行っている。

 ◆山井 大介コーチ(中日)

 東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼市の訪問を13年から始めた。児童養護施設へ寄付金やおもちゃを贈ったり、同市内の中学校で野球教室を開くなど交流を続けている。

 ◆大野 雄大(中日)

 ひとり親家庭の親子を年間4~5回ほどバンテリンドームに招待する活動を17年からスタート。試合前には、サイン色紙や応援グッズをプレゼントするなど交流している。

 ◆福 敬登(中日)

 22年から名古屋聾(ろう)学校を対象に「福敬登招待プロジェクト」を開始。その後は自身が難病を患ったが交流を続け、昨年は1軍復帰を果たすなど励まし、励まされる関係を築いている。

 ◆柳 裕也(中日)

 自動車事故で保護者が亡くなったり重い後遺症が残った子どもがいる家族を、バンテリンドームに招待する活動を22年から開始。試合前には、招待した家族と面談を行うなど交流を図っている。

【パ・リーグノミネート】

 ◆安達 了一(オリックス)

 自身が患った潰瘍性大腸炎と闘う子どもたちへの寄付を21年からスタート。毎年、公式戦の出場試合数×1万円を日本炎症性腸疾患協会に贈っている。

 ◆中村 奨吾(ロッテ)

 eスポーツを通じた障害者支援を22年から開始。ZOZOマリンスタジアムに招待し、寄付金を贈呈している。また、小児がんを患うファンの男の子との出会いをきっかけに、千葉県こども病院を訪問、今年9月の試合前に球場で交流した。

 ◆角中 勝也(ロッテ)

 出身地・石川県の共同募金会に19年から寄付をスタート。障害者支援に役立っており、安打数に応じて金額を上げているので「少しでも多くの寄付ができるように」と活躍への原動力にもなっている。

 ◆高部 瑛斗(ロッテ)

 闘病中の子どもたちや、その家族を助けたいという思いから、小児がん支援を22年に始めた。寄付や物品の寄贈、病院への訪問を毎年行っている。

 ◆近藤 健介(ソフトバンク)

 今年から、主にアジアで貧困に苦しむ子どもたちを支援するための寄付を開始。成績に連動した内容で「ひとりでも多くの子供たちを支援できるように頑張る」と意気込んでいる。

 ◆則本 昂大(楽天)

 裕福ではない子どもたちにいろいろな経験をしてもらいたいと、19年から経済的に恵まれない子どもたちを支援する団体へ寄付。また、同団体を通じて子どもたちを球場に招き、交流している。

 ◆高橋 光成(西武)

 幼い頃から身近にいた犬に関わる活動をと、21年から捜索救助犬の支援を開始。寄付だけでなく訓練施設を訪問し、体験した。また、地元・群馬の森林を守るため「ぐんま緑の県民基金」にも寄付している。

 ◆鍵谷 陽平、杉浦 稔大、玉井 大翔(日本ハム)

 北海道出身の3選手は、9人そろわない道内の小中学生チームに対し、野球への意欲を持ち続けられるように野球教室や用具提供などを19年から行っている。

 ◆ゴールデンスピリット賞 日本のプロ野球球団に所属する人の中から、積極的に社会貢献活動を続けている人を表彰する。毎年1回、選考委員会(委員名別掲)を開いて、球団推薦で選ばれた候補者から1人を選定する。欧米のスポーツ界では社会貢献活動が高く評価され、中でも米大リーグの「ロベルト・クレメンテ賞」が有名で、球界での最高の賞として大リーガーの憧れの的になっている。日本では試合での活躍を基準にした賞がほとんどで、球場外の功績を評価する表彰制度は初めて。いわば「球場外のMVP」。受賞者にはゴールデントロフィー(東京芸術大学名誉教授・絹谷幸二氏作製のブロンズ像)と阿部雄二賞(100万円)が贈られる。また、受賞者が指定する団体、施設などに報知新聞社が200万円を寄贈する。

 ◆阿部雄二賞 2001年4月9日、本賞を第1回から協賛している株式会社アイ・インベストメントの代表取締役社長・阿部雄二氏が逝去。同氏の遺志として3000万円が報知新聞社に寄贈された。報知新聞社はその遺志を尊重し、長く後世に伝えるため「阿部雄二賞」を創設した。

 ◆選考委員プロフィル

 栗山 英樹 2023WBC日本代表監督

 榊原 定征 プロ野球コミッショナー

 佐山 和夫 ノンフィクション作家。米大リーグに造詣が深い。ゴールデンスピリット賞の提唱者の一人。2021年野球殿堂入り

 鈴木 俊彦 日本赤十字社副社長

 長嶋 茂雄 読売巨人軍終身名誉監督。現役時代のチャリティー活動が評価され、1982年に日本のプロ野球人として初めてローマ法王ヨハネ・パウロ2世に謁見した。88年バチカン市国からバチカン有功十字勲章を受章

 三屋 裕子 日本バスケットボール協会会長。バレーボール女子日本代表で84年ロス五輪銅メダル

 依田 裕彦 報知新聞社代表取締役社長

 ※敬称略・50音順

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