百戦錬磨のダルビッシュは、不気味なほど冷静だった。中4日で第5戦に先発。大谷とは対照的に、高ぶることなく現在の心境を口にした。
「メンタル面としては本当に例年よりも、今までとは段違いに落ち着いているというのは、本当に自分の中で分かること」
0勝1敗で迎えた第2戦では7回82球で3安打1失点で勝利投手。大谷を無安打に抑え、逆襲の機運を高めた。7球種を使い分け、ボールを持つ時間を変えるなど老練な投球で強力ド軍打線を手玉に取った。豊かな経験値と並外れた観察眼と対応力で、再現を狙う。
「今の時点では何も考えてないけど、打者の反応を見て、試合始まってからいろいろ考えていくというのが自分のやり方。今回もそうしたい」
今季は左脚付け根の張りによる負傷者リスト(IL)入りや、個人的理由による制限リスト入りもあってシーズンは16登板のみ。PSのフル回転は望むところだ。
「すごく元気で、今の時期(例年なら)けっこうあちこち痛いところがあるんですけど、そういうのもすごく少ない」
ドジャース先発は山本。昨年3月のWBCでともに戦った仲間でもある。
「個人的にもすごく仲が良い選手。お互いこういう舞台で投げ合えるというのはすごく幸せなこと」
大谷とのマッチアップが両軍の明暗を分ける。昨年のWBCで日本のレベルの高さを再確認したダルは、大舞台で日本人がそろうことに誇らしさを感じている。
「昔と比べて今の日本人の選手は評価されている。日本の野球にとっては素晴らしいことだと思いますね。すごくうれしいです」
日本の誇りも胸に、ライバル・ドジャースの高い壁になる。(安藤 宏太)