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NHK大河「光る君へ」気迫の4分15秒!ききょうの本音に触れたまひろは…伊周は命削る呪詛 第39回みどころ

スポーツ報知 2024年10月12日 13時0分

 女優の吉高由里子が主演するNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜・後8時)の第39回「とだえぬ絆」が13日に放送される。

 大石静氏が脚本を手がけるオリジナル作品。大河ドラマではきわめて珍しい平安時代の貴族社会を舞台に、1000年の時を超えるベストセラー「源氏物語」の作者・紫式部/まひろの生涯に迫る。

 6日に放送された第38回「まぶしき闇」では、ききょう/清少納言(ファーストサマーウイカ)がまひろ/藤式部(吉高)のもとを訪ね、まひろの物語に対しての心中を吐露。宮中では中宮・彰子(見上愛)と敦成親王への呪詛(じゅそ)に伊周(三浦翔平)の関与が明らかになり、伊周の心身がむしばまれていく一方で、道長(柄本佑)は次の東宮に敦康親王ではなく敦成親王を擁立することを心に決め、ひそかに動き出す姿が描かれた。

 オープニングが始まるまでのアバン(導入)は4分15秒。まひろとききょうによる2人の長いせりふの応酬に息をのむ。ひとりの読者の観点から「引き込まれました」と賛辞を送り、キャラ造形、漢籍の知識、ストーリー運びの巧みさを評価する。毎週コラムを出している立場からすれば、その言語化能力の高さがうらやましい。一方で、定子(高畑充希)に生涯をささげることを決めた者として、一条天皇(塩野瑛久)の心の中から「枕草子」を消したことを責め「私は腹を立てておりますのよ、まひろ様に。源氏の物語を恨んでおりますの」と涙目で訴える。怒涛の4分15秒だった。

 「自分(の物語)は恨まれている」ことを自覚したまひろ。「枕草子」は一条天皇や定子の光の部分を集め、「源氏物語」は一条天皇の影の部分を煮詰めて物語に昇華させたもの。本来は表裏一体ではあるが、決してわかり合えないのだということを思い知らされる。道長に頼まれて書き出した物語は、誰かに幸せをもたらし、誰かに悲しみをもたらしている。まひろはストーリーの終盤、伊周から面と向かって呪いの言葉を吐かれた道長の姿を目撃し、「恨まれている」が比喩ではないことを身をもって痛感する。冒頭と結びが呼応している作劇がすばらしい。

 前回で特筆して触れるところがあるとすると、やっぱり正気を失っていく伊周の鬼気迫る様子には心奪われた。呪詛に用いる人形代(ひとかたしろ)をビスケットのようにかみ砕き、目の焦点は合わない。麗しい貴公子で、世が世なら摂政コースまっしぐらだった伊周。ここまで「光る君へ」のヒールを担っており、イライラさせる場面もあったけれど、根っからの悪人には描かれていなかっただけに、朽ちていく姿を見るのはつらい。第38回サブタイトルの「まぶしき闇」は、まひろとききょう、そして道長と伊周の関係性にもかかってくるのだろう。

 道長は嫡男・頼通(渡邊圭祐)に、敦成親王を次の東宮にロックオンしていく意思を告げたうえで、理由として「家の繁栄のためではないぞ。為すべきは、揺るぎなき力をもって民のためによき政を行うことだ」とあくまでも「民のため」であることを強調する。かつて鳥辺野で直秀(毎熊克哉)を弔ったときの志のまま、今も自分はあると自らに言い聞かせるように話す道長。この先の壮大なネタバレを史実から食らっているがゆえに、筆者も「信じていいんだよね…?」と半ば祈る思いである。

 物語がさらに動き出す気配のある第39回では、彰子が2人目の皇子を出産。次期皇位をめぐって公卿の思惑が交錯する中、道長は自身の血を引く天皇の誕生を意識し始め、宮中には伊周の体調悪化のうわさが広まる。一方、帰省し久々に家族団らんを楽しんでいたまひろだが、弟の惟規(高杉真宙)が父・為時(岸谷五朗)に賢子(南沙良)の実の父親が道長であることをうっかりバラしてしまう。真実を知った為時は…という展開が描かれる。

 そういえば為時って出生の秘密を知らなかったんだっけ、と驚きをもって受け止めつつ、まひろ一家らしいカミングアウトの仕方なので楽しみにしていてほしい。敦康親王、賢子も成長著しく、大人キャストが初登場。そして全体的に登場人物の「人間味」がたっぷりと感じられる回。笑ったし、泣けた。人間は罪深く、愚かで、でもやっぱりいとおしい。(NHK担当・宮路美穂)

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