Infoseek 楽天

【阪神】藤川球児新監督誕生の裏に4年前の愛息の言葉「簡単に断る人は尊敬できない」…担当記者が見た

スポーツ報知 2024年10月16日 5時0分

 阪神・藤川球児新監督(44)が15日、大阪市内のホテルで就任会見を行い、「岡田イズム」の継承を宣言した。年俸8000万円(金額は推定)の3年契約で、背番号は22に決定。理想のリーダー像に岡田彰布前監督を挙げて恩師の野球の踏襲を前面に打ち出し、球団創設90周年となる来季のリーグ優勝を誓った。また、藤川新監督の現役時代を10年以上取材した小松真也記者が、引退後の4年間を「見た」。

 藤川新監督には忘れられない言葉がある。代名詞の火の玉ストレートを完全燃焼させた20年の現役引退直後。家族とのたわいもない会話の中で「将来は監督とかあるんじゃない?」と言われ、「やらないよ」と即答した。すると、社会人になった長男から真顔で告げられた。

 「何でやらないの? 日本で12人しかできないこと。そんな簡単に断る人は尊敬できない。ダサいよ」

 予想外の反応が胸に突き刺さった。「その言葉がずっと残っていて。息子に『何でも挑戦しろ』と言っている自分がそれではいけないなって。あの時、将来的に監督のオファーが来るかなんて分からなかったけど、ふさわしくない生き方はしてはいけないと思った」。セミリタイアすら考えるほど燃え尽きていた心に、新たな火がともった瞬間だった。

 だからだろう。この4年間は、球団のフロント職を務めてキャンプで選手の指導にあたり、外国人調査を主とした編成にも携わった。評論家活動では巨人・原辰徳前監督を初め、偉大な先輩たちからエキスを吸収。野球教室の合間には右打者のシーズン最高打率記録を持つ内川聖一氏らに打撃理論を学ぶなど、見聞を広めた。結果が求められる立場は百も承知。コーチ経験がないことを不安視する声も「自分が何をするかしか考えていない」と決然と受け止める。ヤジや批判も「全然平気」といい、絶対的守護神として「責任を背負ってきた」自負がある。

 「私人として過ごした4年間は本当に楽しかった。でも、もう終わり。24時間、監督としてやっていく」。スノーボード、釣り、家族旅行、山本由伸(現ドジャース)と一緒に楽しんだ備前焼の陶芸…。そんな日々と決別し、再びユニホームを着る。4年の歳月を経て、あの日の思いは現実になった。(プロ野球遊軍・小松 真也)

この記事の関連ニュース