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GK鈴木彩艶 神セーブにも満足しない向上心「はじき方に工夫が必要だった」 22歳で代表守護神

スポーツ報知 2024年10月17日 16時45分

 サッカー日本代表GK鈴木彩艶(パルマ)は26年北中米W杯アジア最終予選で4試合連続で先発出場しており、22歳ながら森保ジャパンの守護神に定着している。

 15日のオーストラリア戦(埼玉)。0―0の後半13分、相手がプレスにくる中で鈴木が蹴った左足ロングキックを相手センターバックに跳ね返された流れからボールを右サイドに展開され、クロスがDF谷口彰悟の足に当たってオウンゴールで失点した。最終予選4戦で初の失点。「もう少し予測できたと思う。相手が前がかりになってた時に左足でしっかりと背後に蹴り切る、ボールの質含めて、そこから乱れたので改善していきたい」と反省した。

 9月の中国戦(7〇0)で元日本代表GK川口能活氏を抜き、最年少22歳15日で最終予選デビュー。バーレーン戦、サウジアラビア戦と3試合連続で完封勝利に導いた。

 スーパーセーブでチームを救っても、細部まで課題を追求する姿勢は尽きない。サウジ戦の前半42分、強烈なミドルシュートに横っ跳びして右手1本ではじき飛ばした。ピンチを防ぐビッグプレーに称賛の声が多く挙がったが、「はじき方にも工夫が必要だった」と鈴木。改善の必要性を口にしたのは、直後のボールの行方だ。

 空中へはじいたボールはゴールラインのギリギリ内側に落ち、相手CKとなったが、相手にセカンドボールを拾って2次攻撃を狙うチャンスを与えてしまった。「ちょっと(手が)分厚く当たってしまったので、もう1個前にしっかり当てて飛ばせればよかった。ゴールラインになってもいいけど、分厚く当たったのでボールの軌道が残る感じになった」。はっきりとゴール右後方などへはじき、一度プレーが切れるプレーを理想とした。

 1~2月のアジア杯は全5戦にフル出場し、計8失点。無失点は1試合もなかった。厳しい批判にも苦しんだが「アジア杯の経験を生かす」と前を向いた。その姿勢や実力に対する森保一監督や下田崇GKコーチらの評価は高く、第1GKの座は譲らず。3月の北朝鮮戦以降、サウジ戦まで出場4試合で零封し、失点はOGの「1」のみに抑えている。

 性格は「超」がつくほど真面目。昨年夏までプレーした浦和時代からGKコーチの教えを全て忠実に吸収し、成長を遂げてきた。だが、当時チームメートの元日本代表GK西川周作らがコーチによる数々の指導を取捨選択して取り入れる姿を見て、考え方を徐々に変化させた。「若い時は言われたことを全て取り入れようとしてたけど、人それぞれ体の使い方や動き方は違う。うまくいいところを吸収しようというマインドになり、うまくいってる」と充実の表情を見せた。

 今夏はベルギー1部シントトロイデンからイタリア1部パルマに移籍。セリエA初の日本人GKとして主力を担っている。イタリア出身のヴィスコンティGKコーチの指導のもと、攻撃の起点となるロングボールやビルドアップのパス供給の精度を磨く。筋トレは「スピードも意識して、胸に筋力をつければいいわけじゃないので、バランスよく」と励み、公称98キロの体重は100キロを超える日もあるという。パワフルさを増しながら、俊敏さが光るプレーで日本のゴールマウスを守る。

 過去3連敗と鬼門だった敵地・サウジ戦で快勝後には「大事なゲームでも力を入れすぎず、リラックスして余裕を持ってプレーできている」と明かした。その背景には、海外や日本代表で愚直に、自ら考えて細部までレベルアップを追求する鈴木の進化がある。(星野 浩司)

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