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パナソニック・定本拓真、不屈の精神で再び甲子園へ 18年センバツ4強右腕 運命のドラフト会議24日

スポーツ報知 2024年10月18日 5時0分

 プロ野球のドラフト会議が24日に迫る。関西のチームに所属し、高校、大学、社会人とそれぞれのカテゴリーで腕を磨いてきた有望選手たちも、運命の時を待つ。パナソニックの最速153キロ右腕・定本拓真投手(24)に、ここまでの道のりと現在の思いを聞いた。

 指名を待つパナソニック・定本には「人生の転機だった」という一戦がある。三重高3年時の18年センバツ準決勝・大阪桐蔭戦。相手には藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(中日)らがおり、世代最強だった。延長12回2死一塁、藤原に左中間へサヨナラ二塁打を浴びたが、全国屈指の強豪相手に163球を投げ、3失点完投。「あのレベルの打者が詰まったり、タイミングが合っていないのを見て、上のレベルでも勝負できると思えた」と聖地を沸かせた春を回想する。

 初戦の日大三(東京)戦の完封勝利でNPB球団から注目の的に。だが、「センバツ前から左膝が痛くて、大阪桐蔭戦の後は自力で足が上がらないほど」と明かす。痛みに耐えながらプレーし続け、夏の三重大会終了後、左膝蓋骨(しつがいこつ)骨折が判明。手術を受け、高卒プロは諦めた。

 関大では次第に球速が足りないと考えるようになった。当時最速150キロの右腕は「平均球速で言うと145キロ程度。球が速い投手がたくさん出てきて、150キロでは勝負できないと思った」とパナソニック入りを決意。プロ志望届を一度も出さず学生野球を終えた。

 入社後は、関大4年時に痛めた右膝のリハビリに注力。筋力や知識をつけて復帰し、最速を153キロに更新した。持ち味の球の強さと制球力も磨き「(ストライク)ゾーンで勝負できるようになった」。

 成長した姿で迎える運命の日。あの春、サヨナラ打を献上した藤原との再戦にも思いをはせる。「今なら打たれない自信がある。もし、甲子園で対戦できたりしたら最高」。重ねてきた不屈の歩みで、大きな花を咲かせようとしている。(森口 登生)

 

 ◆定本 拓真(さだもと・たくま)2000年8月5日、大阪・八尾市生まれ。24歳。大正北小4年時に大阪八尾リトルで野球を始める。大正中時代は大阪八尾ボーイズ(八尾フレンド)所属。三重高では1年春からベンチ入り。最高成績は3年春のセンバツ4強。関大では1年秋からベンチ入りし、最高成績は同秋の神宮大会準優勝。3年秋に関西学生リーグ最優秀投手賞。最速153キロ。球種はカーブ2種とカットボール、ツーシーム。183センチ、96キロ。右投左打。

 ◆18年センバツの定本 初戦の2回戦・日大三戦は7安打完封し、チームは8―0大勝。2―1で勝った3回戦・乙訓(京都)戦は登板なし。準々決勝・星稜(石川)戦は9回から登板し1回無安打無失点。三重は14―9で勝ち、優勝した69年春以来、49年ぶり4強入り。準決勝・大阪桐蔭戦は2―3でサヨナラ負け。計3試合21回2/3を投げて防御率0・83。夏は三重大会で敗退した。

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