Infoseek 楽天

アジカン後藤正文らのスタジオ造り、クラファン4000万円を突破!インディーズを支援「可能性を阻むのは社会的損失」

スポーツ報知 2024年10月19日 7時30分

 人気ロックバンド「ASIAN KUNG―FU GENERATION」(通称・アジカン)でボーカル、ギターを担当する後藤正文が、このほど「しずおか報知」の取材に応じた。5月に静岡・藤枝市を拠点とするNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」を創設。同市内に滞在型の音楽制作スタジオを作るため、9月に開始したクラウドファンディング(CF)には多くの支援が集まっており、今の思いを聞いた。(取材・構成=武田 泰淳)

■目標額5500万円

 9月27日からCFのサイト「キャンプファイヤー」で5500万円を目標額に始めると、約1週間で50%を突破。18日時点で4000万円を超えている。

 「告知はコンサートでMCの時に話したり、インスタライブなどSNSを使ったりしています。長年やってきたことへの『信頼』から、リスナーの支援があるのはうれしいです」

 2003年のメジャーデビュー以降、4人組のアジカンは数多くのヒット曲を出した。音楽シーンの第一線にいながらも、大手レーベルに属する自身たちのような「メジャー」と違い、独立して活動する「インディペンデント」を支援するのが今回の目的だ。

 「予算の面で、スタジオを借りる自由度の差が(両者で)開いている。例えば曲の中でA案に対してB案をやってみるとか、試す時間が減っている。創作においてスタジオでの時間は大事です」

 島田市出身の後藤は、静岡県内でスタジオの候補地を探す中、藤枝市にある土蔵に出合った。築130年ほどでかつては茶倉庫として使われていた。耐震工事のため基礎から作り直し、2階の床を撤去して高さを確保するなど大がかり。名付けられた「Music Inn Fujieda」の完成は来秋予定だ。

 「都内で10時間借りると20~30万円、廉価でも10万円はかかります。目標は1日3万円で貸し出せれば。あまりにも〝入口〟で金銭が立ちはだかるのはよくない。可能性を阻んでしまうのは社会的な損失。アイデアのある人が気軽にできるようになればいい」

■アジカンの曲作りも

 藤枝市と連携協定を締結した。自身の機材を提供し、隣接する建物を宿泊できるように改装するなど、曲作りに打ち込める環境を整える。

 「以前行った(米国)ロスのスタジオにはいろんな歴史があって、文化が張り付いていた。藤枝でもアドバイスもできるし、技術をもったエンジニアを呼んだり、ここにも文化が張り付くようになればいいです」

 スタジオではアジカンの曲も作る予定。来秋以降、地元の人を巻き込んで運営していく考えだ。

 「ここならではの曲を作りたいと、メンバーには話しています。(3万円でなく)メジャーのそれなりの料金で(笑い)。5年から10年ぐらい使って、みんなで育てるスタジオになってほしい。地域のコミュニティーでどうやっていくか、実験の場として一緒に考えていくような。みんなの大事な場所になって、僕の手からは離れていいと思っています」

 ◆CFメモ 今回は国内最大のサイト「キャンプファイヤー」(https://camp-fire.jp/)で12月15日まで実施。金額に応じたお礼の「リターン」があり、3万円ならスタジオの銘板に個人名が記載され、5000円なら改装前の土蔵で後藤が演奏した未発表の新曲音源が受け取れる。

 ◆後藤 正文(ごとう・まさふみ)1976年12月2日、静岡・島田市生まれ。47歳。島田高では野球部に所属。関東学院大の在学中、軽音楽サークルで出会った仲間で「ASIAN KUNG―FU GENERATION」を結成。2003年にメジャーデビュー。

この記事の関連ニュース