◆米大リーグ ナ・リーグ優勝決定シリーズ メッツ2―10ドジャース(17日、米ニューヨーク州ニューヨーク=シティフィールド)
ギリギリで踏ん張った。山本由伸投手(26)は1点リードの3回2死一、三塁、マルテを初球のカットボールで遊ゴロに仕留めた。1死満塁を1失点で切り抜け、リードを守った。「すごく流れを左右する場面だったので、落ち着いて次の打者を抑えようと切り替えて向かった。チームが勝てたのでいい投球だったかなと思う」。5回途中、73球で降板して勝利投手にはならなかったが、4安打2失点。13のアウトのうち8つを三振で奪った。
11日の地区S第5戦、本拠・パドレス戦で5回無失点と好投してから中5日。試合開始時は気温12度で、前回登板時より約15度も低い中で工夫して試合を作った。右打者7人を並べたメッツに対し、スライダーを14球。「一発のある打者がたくさんいたので丁寧にコースを狙って投げました」。全投球中19・2%は、レギュラーシーズンを含め今季21登板で最多だった。
最速96・2マイル(約154・8キロ)と寒さからか前回より3・2キロ遅かったが、16の空振りを奪うなど8K。「なんとかリードを守ろうと思いながら投げた。追加点を取ってもらえたので多少気持ちに余裕を持って投げることができた」と攻撃陣の後押しに感謝した。
次回登板はリーグ優勝決定Sを突破した場合、WSになる見込み。登板が実現すれば日本人7人目で、1年目の先発は07年松坂(Rソックス)以来2人目の快挙となる。「しびれる展開の試合が多く、選手としてもすごくやりがいを感じるし、本当に幸せな経験ができている」。登板したPS3戦でチームは全勝。喜びを全身で感じながら、最高峰の舞台を待つ。
◆山本に聞く
―スライダーが多くなったのはプラン通りか。
「初回から失点してしまったけど、何とか最少失点に抑えられたことはよかった。右打者が多くいたので、スライダーは多くなった」
―PSに慣れてきた部分は。
「しっかり落ち着いて投球はできているけど、一発も多いので本当に油断することなく1球1球投球しています」
―あと1勝でWS進出。
「とにかく今日勝てたことはすごくうれしく思いますし、あと1勝を全員で何とか取れたら」
―日本時代とは違って少ない球数での降板が多い。
「1イニングずつ抑えるということは自分の投球の中での基本。そこは特に変わらず、1イニングに集中して、相手一人ひとりに集中して投げています」
―ブルペン陣の登板が多いことで日本との違いは。
「多少采配の違いは(日米で)ありますけど、日本もリリーバーがいますし、でも基本は先発が7回くらいまで投げることが多い。こっち(メジャー)は早い展開からリリーフの方が出てきてくれて、今日も抑えてもらえたので、どちらがいいとかは特にないけど、すごく助かりました」
―短いイニングだからこそ出力を上げられるのか。
「1イニングずつというのを心がけているので特にそこは変わらない。いつも全力で投げているので、そこは変わりないです」