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「二刀流という言葉から、もう我々は脱出している」1位指名右腕の最大化を目指す日本ハムの育成理念…記者コラム

スポーツ報知 2024年10月26日 12時30分

 20年まで担当した日本ハムを久しぶりに取材する機会に恵まれた。25日、ドラフト1位指名を受けた福男岡大大濠・柴田獅子(れお)投手への指名あいさつのため、栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)、大渕隆スカウト部長らが、福岡市内の同校を訪れた。

 最速149キロの右腕でありながら、左打ちで高校通算19発のスケールの大きな逸材。柴田本人が投打二刀流に挑戦する意欲を持つことから、日本ハムから米大リーグへと羽ばたいたドジャース・大谷翔平に続く存在として、球団側への会見では二刀流や大谷との比較に関する質問が多かった。

 テレビ局の取材が終わり、ペン記者による最初の質問は、「プレー面での大谷選手との共通点は?」。栗山CBOは「技術的なものというのは細かく言うと変になっちゃうので」と慎重に言葉を選んでいる様子だったが、それまで質問を静かに聞いていた大渕スカウト部長は「それは一言言わせてください」と切り出して、さらに続けた。

 「本当に(メディアが)大谷で書きたいの分かるんですけど、(球団側は)そんなことを思っていないです。これから柴田獅子を最大化させることに我々は進むと思っていますので、『大谷の何か』とか『大谷二世』だとか、二刀流という言葉から、もう我々は脱出している。そこから考えているということだけは、はっきりお伝えします」

 確かに、栗山CBOは会見の席で明言していた。「もっと違う形の、僕らが見たことのないような形も含めて、やってくれると信じて前に進んで少し話をさせてもらった。そういうことを考えないと、最初に(育成プランは)こんな感じって言っちゃったら、それ以上は上に行かない。それが1番選手を殺すことになる」。能力、技術への評価はもちろんのこと、野球を楽しみ、ひたむきに取り組める姿勢は大谷とも共通する―というのが球団の評価。誰も見たことのないような未来を感じさせる逸材だと評価するからこそ、言葉は熱を帯び、その瞳はキラキラと輝いていた。

 大きな期待を受ける18歳は、「プロ野球界を代表できるような存在、選手になりたい。自分の可能性を評価されているので、自分がやりたい選手像、プレースタイルをプロ野球界でやれたら」と決意を示した。誰にも想像がつかないような未来を描くための旅が、北の大地で始まろうとしている。(小島 和之)

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