Infoseek 楽天

J2清水がJ1昇格 秋葉忠宏監督、就任2年目で悲願達成…「凡事徹底」ぬるさ排除…アウェー対策「宿舎到着即散歩」「朝食強制」

スポーツ報知 2024年10月28日 6時30分

◇明治安田J2リーグ▽第36節 清水1-0栃木(27日・カンセキ)

 オレンジ軍団が、戻るべき場所へ戻った。清水エスパルスは栃木を1―0で下し、勝ち点を76に伸ばして来季のJ1昇格を決めた。後半5分、DF住吉ジェラニレショーン(27)がCKから先制弾。同38分、途中出場のFW北川航也(28)が退場するアクシデントが発生したが残り時間を耐え抜き、秋葉忠宏監督(49)就任2年目でついに目標にたどりついた。

  時に涙し、時に真っ赤になってきた闘将の顔が自然と緩む。王手から2試合足踏みし、苦しみ抜いて3年ぶりのJ1への切符を手中に収めた。昨春、どん底の状態で就任してから573日目での悲願達成。清水・秋葉監督は「1つの思いに向かってファイトしたから逃げ切ることができた。勝負強く、自分たちからタフになった」と感慨に浸った。

 前半は押し込まれる時間を耐え、後半からギアチェンジ。同5分、右CKがMF中村の頭をかすめ、落ちた所に詰めた住吉が右足で仕留めた。「みんながやるべきことをやったから自分にこぼれてきた」。水戸を率いた時からの孝行息子が待望の先制点をもたらした。

 アクシデントにもめげなかった。今季フル出場のGK権田が欠場も、移籍後初先発のGK沖が落ち着いて8試合ぶり完封を演出。終盤には北川が乱暴な行為で退場したが、アディショナルタイム(AT)を含め約15分をしのぎきった。「去年なら負けていたところを勝ちきった」とMF乾。最大の課題だった勝負弱さは最後まで顔を見せなかった。

 “1の屈辱”から再起した。昨季は2位で最終節を迎えながらドローで4位転落。プレーオフ決勝でも後半ATのPK献上で追いつかれ東京Vに最後の1枠を譲った。わずか勝ち点1、1得点足りず昇格の夢は霧散した。

 失敗の許されない2年目。「凡事徹底」を掲げ、ぬるさを排除していった。現役時新潟で師事した古辺考功コーチ(53)を招へい。異例のフィジカルコーチ2人体制で底上げを図った。「日常が大事」と口酸っぱく言い続け、アップのダッシュ1本とっても定められた線の手前で減速するような選手は、いつの間にかいなくなった。

 細部にもこだわった。昨季敵地では6勝8分け7敗。「結果が出てない以上、変えないといけない」。J2は長距離移動を伴うことから、血流を回復させるため宿舎到着後、即散歩を全員参加とした。ナイターでは自由だった朝食も強制してとらせた。会場到着後には全員でピッチに繰り出し、スタンドとの距離感や照明をチェック。今季アウェーの戦績は11勝1分け7敗と前進した。

 首位に浮上し、残りは本拠で2試合。次節、11月3日のいわき戦を制し、2位の横浜FCが敗れると優勝が決まる。就任以来「J1で王者になる」と言い続けてきた指揮官の夢は、まだ終わらない。(武藤 瑞基)

この記事の関連ニュース