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沢村賞該当者なし 背景に分業制進行…完投数&投球回数クリア0人 堀内委員長、基準は「ほとんど変えたくないが少し考えていかないと」

スポーツ報知 2024年10月29日 5時30分

 シーズンで最も活躍した先発投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長=元巨人)が28日、都内で開かれ、5年ぶりに該当者なしとなった。5、6人の候補者から最終的に巨人・戸郷、ソフトバンク・有原の2人に絞られたが、クリアした選考基準の項目数が少なかったこともあり選出を見送った。堀内委員長は将来的に選考基準を見直す可能性があることを示唆した。

 不滅の大投手を冠する賞にふさわしい投手は誰か。平松政次委員が「(委員を)20年以上やっていますが、このくらい時間がかかったのは記憶にない」と驚いたほど予定の1時間を大幅に上回る1時間30分以上にわたって意見が飛び交ったが、結論は2019年以来、5年ぶりの該当者なしだった。

 昨年まで3年連続で受賞した現ドジャースの山本は勝利数、登板数など多くの項目をクリアしていたが、今年は絶対的な存在が見当たらなかった。巨人・菅野が勝利数、勝率で基準を満たしながら投球回、奪三振で基準を満たさないなど、どの投手も決め手を欠いた。菅野以外にも有原、戸郷、日本ハム・伊藤ら5、6人の名前が挙がり、7項目中4項目をクリアした戸郷と3項目をクリアした有原に絞られたが、選出は見送られた。堀内委員長は「投高打低の時代で、もう少し成績を挙げてほしい。帯に短しタスキに長しと言ったように、1本化するのが難しかった」と厳しい表情で語った。

 今季の完投はセが阪神・才木、戸郷の4、パは伊藤、ロッテ・小島の5が最多で200投球回数を超えた投手はなし。分業制が進んで基準を満たす投手が減りつつある。堀内委員長は基準の見直しについて「ほとんど変えたくないが完投とかイニング数を少し考えていかないといけない。分業制になると完投はなかなか難しい。時期を見て話し合いになる可能性はあると思う」と将来的な見直しを示唆したが、あくまでも先発完投型の投手にこだわる。「最優秀投手ではない、沢村栄治さんの賞。ある程度の格式、威厳を持って選考させていただきたい。皆さんが沢村賞を取りたいという希望のある賞にしたい」と令和の大投手の出現を待ち望んでいる。(秋本 正己)

 ◆沢村賞 正式には「沢村栄治賞」。プロ野球創成期に活躍した故・沢村栄治氏(巨人)の功績をたたえ1947年に制定された。2リーグ制となった50年からはセ・リーグの投手が選考対象だったが、89年から両リーグに広げられた。選考委員は堀内恒夫氏、平松政次氏、山田久志氏、工藤公康氏に加え、今年から斎藤雅樹氏が19年ぶりに新たに選任された。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

 ◆沢村賞選考基準 〈1〉15勝以上の勝利数〈2〉150以上の奪三振数〈3〉10以上の完投試合数〈4〉2.50以下の防御率〈5〉200イニング以上の投球回数〈6〉25以上の登板数〈7〉6割以上の勝率。日本版クオリティースタートの達成率を含む他の成績も考慮して選考する。

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