◆卓球 ▽WTTチャンピオンズ・モンペリエ 最終日(27日、フランス・モンペリエ)
女子シングルス決勝で初出場の世界ランク15位の大藤沙月(20)=ミキハウス=が、同7位の張本美和(16)=木下グループ=を4―2で破り、初優勝を果たした。世界ランク上位者ら32人で争う大舞台で、25日の2回戦は同11位・平野美宇(24)=木下グループ=に3―0で、26日の準々決勝では同8位・伊藤美誠(24)=スターツ=を3―1と、日本女子の強豪に次々と勝利。2028年ロサンゼルス五輪に向け、新星が現れた。
大藤は勝利の瞬間、ガッツポーズを作った左手をそのまま口に当て、驚いたような表情を浮かべた。張本美との決勝は第6ゲーム、10―4から相手のバック側に果敢に長いサーブを出し、ミスを誘って決着をつけた。
コート上の優勝インタビューで「驚きの気持ちでいっぱい。それ以外ない」と喜びを口にし、「サンキュー。メルシー」と応援への感謝を述べると、モンペリエの観客席からスタンディングオベーションが沸き起こった。
半年で世界のトップに割って入った。中学時代から名門のミキハウスを拠点に腕を磨き、21年の全日本選手権ではジュニア女子で石川佳純以来の連覇。10代から世界ツアーにも参戦してきたが、パリ五輪代表選考が国内選考会中心となったことを受けた所属の方針で、21年を最後に国際大会から離れていた。
28年ロサンゼルス五輪を見据え、再び世界に飛び出した。23年10月から世界選手権3度出場の坂本竜介氏(39)をコーチに迎え、今年4月からWTTに参戦。格付けの低いフィーダー、コンテンダーに出場5大会全てで決勝に進み、4度の優勝を飾った。
今大会はWTTツアーで3番目の格付けで、世界ランク上位者ら32人しか出場できない「チャンピオンズ」。世界5位の早田ひな(24)がけがで辞退したため繰り上がりで初出場すると、黄金世代の平野、伊藤に勝利。準決勝で世界10位の鄭怡静(台湾)に競り勝ち、10月のアジア選手権で50年ぶり中国撃破の立役者となった張本美まで破った。台から離れた位置でも強烈なバックハンドでノータッチで打ち抜くなど、衝撃的な内容での優勝。20歳の新星がロス五輪代表争いへ名乗りを上げた。
◆大藤 沙月(おおどう・さつき)2004年5月16日、福井・大野市生まれ。20歳。フェニックス卓球クラブから四天王寺中・高を経て、23年からミキハウス所属。全日本選手権は20年からジュニアの部を連覇。24年アジア選手権女子団体、ダブルス優勝。Tリーグは21―22年シーズンから日本ペイントでプレー。右シェークドライブ型。152センチ。
◆WTTチャンピオンズ ワールドテーブルテニス(WTT)が主催する世界ツアーで上から3番目の格付け。年間4大会のスマッシュ、同2大会のファイナルズに次ぎ、年間8大会開催。シングルスは原則として世界ランク上位30人や開催国枠など男女各32人で争われる。チャンピオンズの下にスターコンテンダー、コンテンダーなどが位置。今年のファイナルズは福岡・北九州市立総合体育館で11月20日に開幕する。