巨人は29日、ジャイアンツ球場に1軍から3軍まで全員集合して新体制で来季に向けて再始動した。阿部慎之助監督(45)は練習前の円陣で「のんびりしてるとすぐクビになる世界。それだけ厳しいんだ」と訓示。各自がレベルアップのために何が必要か自問自答することを求めた。11年ぶり復帰となる橋上秀樹作戦戦略コーチ(58)も合流。来季の日本一へ「考える秋」で攻撃力アップを目指す。
秋空の下で言葉に力を込めた。阿部監督がプロ意識を持つ大切さを熱弁した。CS敗退以来、初めて1、2、3軍全員集合して来季に向け再始動。練習前の円陣で訓示した。リーグ優勝して本来は出場しているはずの日本シリーズに出られない悔しさを胸に、弱肉強食の厳しい世界で生き残るために何が必要か説いた。
「日本シリーズ見ていて面白くないなって。この時期って、大嫌いな季節なんだけど。一緒にやっていた仲間がやめてったりクビになったりする時期で。個人個人が自分はどうだったんだと自問自答してくれと。のんびりしてるとすぐクビになる世界だぜって。それだけ厳しいんだからと。だからこそ自問自答することが大事だと。並大抵の努力じゃ無理なんだと」
この日は現役引退する梶谷、引退して3軍コーチに就任する立岡がナインの前であいさつした。今オフ、育成含め12選手が戦力外となったこともあり「プロって厳しいんだよということを伝えた」。2軍監督時代に「考動」の造語をスローガンに掲げた指揮官は、自ら考える力を重視する。
課題は明確だ。最終第6戦で敗退したDeNAとのCS最終S(東京D)は6戦計9得点。18日の第3戦で10三振中6個が見逃し三振と、ファーストストライクを含め全体的に見逃しが目立った。球の待ち方に改善の余地がある。
「まずは自分を知ることが大事。どこを打ってどこを凡打してどこを空振りしたのか。チャンスなら相手はピンチ。ピンチの時はだいたい、打たれないところにいこうとする。それを待つのか。そういう待ち方を変えたりできるか。それができないと、どっちつかずになってしまう」
待ちの姿勢では投手に重圧をかけられない。積極的に振ってこそ、相手バッテリーを考えさせることができる。
「度胸でしょう。あと、相手捕手の配球を勉強しないといけない。ここでコレはないでしょとか、消去できるから」
その中で、打席内での考え方を変えるために期待されるのが、11年ぶり復帰の橋上作戦戦略コーチだ。阿部監督は「若い選手の教育もしてもらいたい」と新風に期待した。
今季、貴重な経験を積んだ高卒2年目の浅野には「ビビっただろ、1軍の試合に出て。じゃあ自分はどうしていかないといけないか考えないと。周り(の同世代の選手)にどうだったかを教えてあげたほうがいい」と声をかけた。若手の底上げは大歓迎だが、簡単に台頭できるほど甘い世界ではない。だからこそ全員の前で危機感をあおった。
「基本はバッテリー、守り。それは変わらない」としつつ、打線強化は不可欠。「個々の能力アップしかない。自分で考えて行動に移すことが大事」。来季のリーグ連覇、日本一へ考える秋にする。(片岡 優帆)
◆3軍選手を熱血指導
阿部監督が3軍選手に熱血指導した。21日のCS敗退後、ベテラン主力はオフでこの日、G球場に全員再集合。故障でプレミア12を辞退した岡本和、吉川の姿もあった。初日のみ1軍から3軍の若手が合同練習となり、指揮官が育成選手の田上や村山の打撃をチェックして「もっと反動を使って打て」などと強振指令を出した。30日からベテラン主力は自主練習。若手は1軍とファームで午前、午後に分かれて練習する。