ラグビーリーグワン1部・静岡ブルーレヴズが11月1日から10日まで宮崎県延岡市で行う強化合宿に、前日本代表ヘッドコーチ(HC)のジェイミー・ジョセフ氏(54)がスポットコーチとして加わる。2019年のワールドカップ(W杯)で日本を初のベスト8に導いた名将は、28日の磐田市での練習にも参加。「すごく楽しみ。経験を伝えたい」と意気込んだ。
磐田・大久保グラウンドに現れたジョセフ氏は存在感が際立っていた。身長196センチと長身で、練習を見つめる眼光は鋭い。日本代表の合宿などで指導を受けた日野剛志(34)は「雰囲気がピリッとして、練習の緊張感が高まりました」と苦笑した。
レヴズの藤井雄一郎監督(55)が日本代表の強化委員長として19年のジョセフJAPANを支えた縁で、合宿の臨時コーチを依頼。長谷川慎コーチや堀川隆延コーチとも当時の代表活動で一緒に戦っており、ジョセフ氏も「日本は自分は人生の一部だと思っている」と快諾した。7月にスーパーラグビー・ハイランダーズのHC就任が発表されており、その多忙な合間をぬっての来日だ。
28、29日は練習に口を出さず、選手の動きを見ているだけだったが、2日間のオフを挟んで11月1日から始まる延岡合宿で本格指導する予定。「自分の経験を伝えて藤井さんをサポートしたい。楽しみにしています」と目を細めた。
チームは9月からBR東京などとプレシーズンマッチを3試合を消化して2勝1敗。若手主体で臨んでおり、「若い選手が伸びており、全体的なベースが上がっている」と指揮官は手応えを感じている。ここまでは守備に重点を置いてトレーニングを積んでおり、合宿から攻撃に移行する。ジョセフ氏も「ゴール前22メートルのエリア内に入ったときのアタック」をテーマに挙げた。
現役時代はフランカーでモールやラインアウトの戦術も熟知している。レヴズが武器にしている点でもあり、「世界基準を知っている人に教わることで、チームの成長につながる」と日野は期待。昨季、副将を務めた庄司拓馬(26)も「貴重な時間になると思います。怖さもありますが」と笑った。
指導は5日までで、元ニュージーランド代表のベン・スミス氏(38)も参加する。若手とベテランの力を融合させ、攻撃力を高めて12月21日のリーグ開幕に備えていく。(里見 祐司)
◆ジョセフJAPANのW杯 19年W杯(日本)では、エコパでアイルランドを破るなど予選リーグ4戦全勝で初の8強進出。準々決勝では南アフリカに敗れた。23年(フランス)は2勝2敗で予選リーグ敗退。19年大会はヤマハ発動機(現レヴズ)からヘル・ウヴェ(現浦安)が選ばれたが、23年は選出なし。30日から欧州遠征中の現日本代表にはマロ・ツイタマと茂原隆由が選ばれている。