◆米大リーグ ワールドシリーズ第5戦 ヤンキース6―7ドジャース(30日、米ニューヨーク州ニューヨーク=ヤンキースタジアム)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が、メジャー7年目にして悲願の世界一にたどり着いた。ド軍は30日(日本時間31日)、ワールドシリーズ(WS)第5戦の敵地・ヤンキース戦で最大5点差を逆転して7―6で勝ち、4勝1敗で20年以来4年ぶりにWS制覇を果たした。ついにWS制覇の夢をかなえた大谷。密着してきたメジャー担当の安藤宏太記者が、今の大谷を「見た」。
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23年WBCに続いて、大谷が世界の頂点に立った。初めてたどり着いたPSでも存在感を見せ、間違いなく大谷が先頭に立った世界一だった。
だが、まだ先がある。23年3月に二刀流で制覇したWBCの直後には「これぞ野球という雰囲気を味わえた」と充実感を口にしながら、WS制覇へ向けて「短期決戦で投げたいという欲は自然と高まった」と口にしていた。前人未到の道を歩んできた大谷にとって、投打でフル回転して立つ世界一が、本当に目指しているものだろう。
昨年9月に2度目の右肘手術。18年10月に手術を受け、完全に投手復帰できたのは21年だったことを考えると、これだけの打力をもってすれば、打者に専念する選択肢もある。だが、今季は投手復帰へ向けたリハビリも精力的に続けた。
リハビリを担当したヘッドアスレチックトレーナーのT・アルバート氏(45)は、「他の選手以上に目的を明確にしてリハビリをしていた。それに彼は几帳面だね」と明かす。投手復帰の目安は来季の開幕に設定され、キャッチボール中も球速を1球ごとに確認するなど、焦りはなくとも投手復帰へ必死なのも確かだった。大谷の野球生活で中心にしてきたのは打者ではなく投手。物足りなさはどこかであるはずだ。
WBC決勝の後には、優勝の余韻に浸りながらも「目標が達成されているわけじゃない」と話していた。狙った獲物は次々に仕留めてきた30歳が、二刀流で世界一へ再び挑む。(安藤 宏太)