「SMBC 日本シリーズ2024」は2日、横浜で行われる予定だった第6戦が雨天中止となり、3日に順延された。第7戦は4日に開催される。3勝2敗で王手をかけているDeNAは東克樹投手(28)が中5日を空け第7戦に登板できることになり、左足甲を痛めているT・オースティン内野手(33)は順調に回復し一塁での先発出場へ自信を示した。26年前の日本シリーズ(S)では2試合の雨天中止を味方につけ制覇しただけに“吉兆”とも言える。
吉兆の雨で、1998年以来26年ぶりの優勝へ一気に突き進む。悪天候のため順延となったが、三浦監督は「コントロールできないことに、気を使うことはない。この中止を全てプラスに変えて明日の準備をしていきます」と淡々と語った。
ナインは本拠地・横浜スタジアムで練習を行い、各自で調整。移動日も含め試合間隔が2日空いた。仮に6戦目で敗れても、第3戦で先発した東は中5日、第4戦で先発したケイは中4日で第7戦に備えることができる。指揮官は「そういうのも含めていろいろプランは持っています。驚くことないですよ。可能性はあります」。両左腕が中継ぎや先発で再登板する可能性を否定せず、総力戦で戦う姿勢を示した。
主砲も天を味方につける。初戦で左足甲に自打球を当てたオースティンは、痛みをこらえながら第3戦以降は「4番・DH」で強行出場。室内練習場で打撃練習を行い通常通り汗を流した。本拠に戻り、DH制が使えないが、助っ人は「(今日は)正直プレーしたかったですけど、足の面に限って言えばポジティブかもしれない。(守備は)特に不安はない」と前向き。番長も「昨日よりも良くなっていると報告を受けています」と一塁に就いてのスタメン出場を示唆した。
26年前の日本Sでは2度の雨天中止で守護神・佐々木が発熱から回復するなど、有利に働き日本一を達成した。選手としてプレーしていた指揮官は「似かよっていることはないですけど、98年は98年。けど、思い出させることはありましたけどね、いろいろ聞かれたので」と笑った。2連敗から怒とうの3連勝で王手をかけ「(感情は)ずっと変わらず高ぶっています」と静かに前を見た。ホームでの歓喜の瞬間まで最善を尽くす。(内藤 菜月)
◆1998年日本シリーズの横浜 西武とのシリーズでは、2度の雨天中止が横浜に味方した。決戦直前に、駒田、ローズ、谷繁ら主力が軒並み集団風邪に感染。この余波でとりわけ体調を崩したのが絶対的ストッパーの大魔神・佐々木で、10月17日の第1戦を控え、扁桃(へんとう)炎で発熱。開幕直前の2日間はノースロー調整となった。だが、第1戦がいきなり順延となったおかげで回復。ぶっつけ本番ながら、3試合に投げ1セーブを挙げた。第3戦も再び順延。第1戦先発の野村、第2戦の斎藤隆は当初中3日で回る予定だったが、いずれも中4日で第4、5戦に先発。結果的に横浜が4勝2敗で日本一に輝いた。
◆記録メモ
▼20年ぶりの中止 日本シリーズの中止は、04年10月20日の西武・中日4回戦(西武D)以来、このときは台風接近のため中止。シリーズでは初のドーム球場の中止になった。降雨による中止は、03年10月21日阪神・ダイエー3回戦(甲子園)以来。横浜が優勝した98年は10月17日の第1戦(横浜)、21日第3戦は当時まだ屋根がなかった西武Dが中止となり、2度の雨天中止。
▼第6戦が中止になったケース 第6戦が中止になったのは64、93年の2度。64年は3勝2敗の阪神が10月8日に甲子園に戻って第6戦が行われる予定だったが雨天中止。王手をかけられていた南海が逆転Vした。
64年南海○●●○●雨○○阪神
93年は3勝2敗のヤクルトが敵地の西武球場で10月30日に第6戦を迎える予定だったが、水入りで順延。6戦目を落とし、西武に逆王手をかけられたヤクルトだったが、7戦をモノにして優勝を手にした。
93年ヤクルト○○●○●雨●○西武