◆明治安田J2リーグ第37節 清水1―0いわき(3日・IAIスタジアム日本平)
オレンジ軍団がまた一つ夢をかなえた。清水エスパルスはいわきを1―0で下し、1試合を残してリーグ優勝を確定させた。後半38分、CKからDF蓮川壮大(26)が挙げたプロ初ゴールが“V決定弾”となった。クラブのタイトル奪取は02年のゼロックス杯以来、22年ぶり。秋葉忠宏監督(49)が最大の目標に掲げてきたリーグ制覇を達成し、いよいよ来季、3年ぶりにJ1に殴り込む。
サポーター待望のフレーズが飛び出した。試合後のお立ち台。清水・秋葉監督はスタンドに向け「みなさんご一緒に」と呼びかけると、「This is エスパルス!!」と腹から叫んだ。自身の“代名詞”を37試合目で初めて繰り出し、日頃ファミリーと呼ぶサポーターと喜びを分かち合った。
耐えるべき場面は耐え、ボディーブローのように攻め続けた後半36分、ようやく扉をこじ開けた。右CKをMF中村がそらし、待ち構えた蓮川が頭でぶち込んだ。「ハーフタイムに依田コーチからあの位置に入るように言われていた。分析など色んな人の支えがあっての結果」。昇格を確定させた前節の栃木戦(1〇0)で決めたDF住吉に続き、センターバックがセットプレーから決勝点をたたき出した。
蓮川はプロ4年目で初ゴール。明大時代も4年間で1得点だったが、その唯一の一発は3年時のインカレ決勝(対桐蔭横浜大、3〇1)の決勝点でMVPも獲得したという。5年の時を経て再びの“V決定弾”。「試合前に乾選手と『絶対取る』と約束していたので、ご飯をおごってもらいます。鉄板焼きか寿司がいいな」とちゃめっ気たっぷりに笑った。F東京から期限付き移籍した今季は、新天地で開幕スタメンを射止めながら、故障もあり4月から長期離脱も経験。最後の最後にご褒美が待っていた。
守備も緩みなく2試合連続、今季15度目の完封で締めた。残すは最終節(10日)のホーム・熊本戦のみ。来季はJ2王者の看板をひっさげて、3年ぶりにトップリーグに返り咲く。「もっともっと成長しなといけない」と蓮川。秋葉監督は「J1で大暴れしたい」と、チケット完売でオレンジに染まったスタンドに向けて約束した。(武藤 瑞基)
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〇…試合後、反町康治GM(60)が報道陣に対応した。秋葉監督を「個性的な選手が多く、ストレスもあったと思うがよく頑張った」と評価。その上で「俺の一存では決められない。最終節を見た上で上層部と話をする」と続投の明言は避けた。リーグは26年から秋春制に移行。同年の半期は昇降格なく行われる。「来年残れば2・5年J1にいられる。大きなポイントになるので、そこを踏まえ整理する」と話した。