◆東京六大学野球 秋季リーグ戦第8週第1日 明大6―4法大(4日・神宮)
明大が法大に連勝し、勝ち点4(8勝3敗2分け)でシーズンの試合を終えた。5球団がドラフト1位指名で競合した末に楽天が交渉権を得た宗山塁内野手(4年)は、2安打を放って通算安打数は118本に。前阪神監督の岡田彰布氏(早大)の117本を抜き、歴代単独7位となった。2位の明大は優勝の可能性を残し、次週の早慶戦で1位の早大が連敗すれば、優勝決定戦にもつれこむ。
輝き続けた4年間の神宮でのリーグ戦を締めくくる打球が、ショートを守る宗山の前に転がってきた。2点リードの9回2死。いつも通り軽やかにさばいて一塁へ送球すると、爽やかな笑顔を浮かべあいさつの列へと向かった。「最後に自分のところへ飛んで来て、自分で終わるという形になった。一つ、ホッとしました」。充実感をにじませ思いを明かした。
リーグ戦通算118本。歴代単独7位となる最後の安打は、宗山ならではの打球の伸びで記録された。4回無死一塁での第2打席。低めのスライダーを捉えると、右中間フェンスを直撃する適時二塁打になった。「ライトフライかな、と思ったのですが、風にも乗って…。あそこの打球が伸びる時は、打撃の内容がいいのかなと思います」。ネット裏で見守った楽天・沖原スカウトは「思ったより伸びた。ボールを呼び込んで、しっかりスイングできているからでしょう」と感心した。
今季の打率は4割ちょうど。通算打点は「60」に到達した。シーズン打率3割以上は通算5度目で、明大では高山俊ら6人に並ぶ最多タイ。上田希由翔の74打点、中村豊の63打点に次ぐ数字だ。楽天・後関スカウト部長は「記録は、強い体で出場し続け、コンスタントに結果を出しているからこそ。長いシーズンを戦うプロの世界への適応力を示すものです」と活躍を確信する。
ドラフトを契機に、さらに注目度がアップ。3日の試合の後、神宮からの帰りのバスの周囲には、見たことがないほど多くのファンが“見送り”に訪れていた。「さらに結果を残し、これからも自分を見に来てもらえるような選手になっていきたい」。優勝決定戦にもつれ込まなければこの試合が大学最終戦。宗山の心には、既にプロとして生きる意識も芽生え始めている。(浜木 俊介)