阪神・小幡竜平内野手(24)が7日、“青木打法”習得による定位置奪取を誓った。毎年のようにレギュラー候補に挙がりながら、殻を破り切れない6年目。課題の打撃力向上へ、小谷野栄一打撃チーフコーチ(44)のアドバイスも取り入れた。進化の過程を阪神担当の直川響記者が「見た」。
思わず目を疑った。昼下がりの打撃練習。右に左に矢のような打球が飛ぶ。見栄えのいいサク越えを量産するわけではない。ただ、明らかに打球の質が変わった印象だ。高知・安芸キャンプで小幡が進化を遂げていた。
要因の一つは、新任の小谷野打撃チーフコーチと取り組むスタンドを使ったロングティーにある。左打者でありながら、スイング後に左足が前に出るほど振り切る。「しっかり力を伝えられる。帰国後の(ヤクルト)青木さんのようなイメージ」。理想とするのは、日米通算2730安打を積み重ねて今季限りで現役を引退したバットマン。構えは小谷野コーチのアドバイスもあり、前後から体を押されても両足の踏ん張りが利くような体勢を意識。「一番、力が伝わりやすい。飛距離も出て強い打球が増える」と効果を語る。
遊撃は2年連続で木浪が100試合以上に先発出場するなか、小幡は今季50試合に出場し、打率2割4分1厘、1本塁打、9打点。23戦連続スタメン出場を続けていた7月中旬に左太もも裏の肉離れで離脱し、後半戦のほとんどを棒に振った。だからこそ「レギュラーを取れるように」と、正遊撃手への思いはひとしおだ。守備には定評があるだけに打撃力アップが必須。24歳に光が差し込んできた。
来季は高卒7年目。藤川監督は「こちら(安芸)でトレーニングを積んでレベルアップを図ろうとしている」と期待する。青木打法に小谷野のススメを融合した新フォームで脱“2番手”へ―。練習終盤、かねて課題に挙げていた左中間にも鋭い打球を飛ばす姿を見て確信できた。来季の小幡はひと味もふた味も違うはずだ。(直川 響)
◆小幡 竜平(おばた・りゅうへい)2000年9月21日、大分県生まれ。24歳。宮崎・延岡学園では3年春に4番で甲子園に出場し、18年ドラフト2位で阪神入団。通算成績は243試合出場で打率2割3分5厘、2本塁打、29打点。184センチ、76キロ。右投左打。