慶大・清原正吾内野手(4年)が8日、横浜市内の慶大グラウンドで、学生ラストゲームとなる9日からの早慶戦を前に取材に応じ、「自分の全てを懸けて、体がボロボロになる覚悟で」と“最後の早慶戦”に対する思いを明かした。
白球を追った大学4年間の総決算とも言うべき大一番の前に、清原は引き締まった表情で決意を口にした。
「調子自体はかなりいい状態。素晴らしい相手である早稲田さんと試合ができる。僕も大学生活最後のカード。一日一日本当に悔いなく、最後の最後まで練習してきた。自分が納得いくまでバットを振り続けました」
早慶戦は慶応幼稚舎(小学校)から応援に駆け付けたビッグマッチ。思い入れもひとしおだ。仲間と一緒に魂を燃やす時間は、これが最後になる。
「早慶戦というのは僕にとって特別な舞台。さらに4年生のラストイヤーってことで、この4年間で一番特別な思いはあります。緊張や寂しさは全くなくて。最後の最後、後悔なく終われるように。自分の全てを懸けて、体がボロボロになる覚悟で最後の最後まで1打席1打席、1球1球を噛みしめながら打席に入りたい」
慶応普通部(中学)ではバレーボール部。慶応高ではアメリカンフットボールに熱中した。6年間のブランクがありながら、人一倍の努力で慶大の4番まで上り詰め、春季リーグ戦では一塁手のベストナインにも輝いた。しかしその裏では、涙に暮れた日もあった。
「大学1年生で素人同然で入部して、入部当初は大きな挫折を味わった。何とかがむしゃらに頑張ってきて、3年生で開幕スタメンを勝ち取れたものの、そこからベンチも外れ、3年秋には出場する機会もなく…。大きく2回、僕の中で挫折がありました。今、振り返ってみればどれも僕にとっては大切な経験。思い出です。4年になって主に4番として出させてもらって、監督さんや家族のみんな、支えてくれた方々にも恩返ししたいという気持ちで1年間やってきました」
入部時の目標は「神宮の舞台に4番で立つ」「ホームランボールを両親にプレゼントする」。この2つが叶えられたことには「ホッとしていますし、うれしいこと。最後の早慶戦で、応援してくださる方にも最高の恩返しという形で大学野球人生を締めくくれたらなと思います」と意気込んだ。
今秋のリーグ戦では本塁打2発。1号のホームランボールは父・和博さんへ、2号は母・亜希さんに贈った。「ほんとにありがとうって言ってくださった。渡した時には少し親孝行ができたのかな」。そして迎える“最後の早慶戦。愛する両親へ「僕の最後の勇姿を、目に焼き付けてもらいたい」と言い切った。
24日のドラフト会議でその名が呼ばれることはなかった。イースタン・リーグのオイシックスやウエスタン・リーグのくふうハヤテに加え、独立リーグ7球団を含む計9球団が獲得へ名乗りを挙げている。ここまで進路の話題は封印し、ラストゲームへ集中してきた。
「もちろんホームランは目指すところ。今までの感謝を込めて全力でプレーするので、そこを見てほしいですね」
神宮の杜へ鳴り響く「4番、ファースト、清原君」のアナウンスもこれが最後。最高の仲間と思いを一つに、全力で勝ちに行く。(加藤 弘士)
◆清原 正吾(きよはら・しょうご)2002年8月23日、東京都生まれ。22歳。慶応幼稚舎(小学校)3年から「オール麻布」で野球を始め、慶応普通部(中学)でバレーボール部、慶応高でアメフト部。慶大で野球に再チャレンジ。2年秋にリーグ戦デビューし、通算29試合で106打数24安打の打率2割2分6厘、2本塁打、11打点。今春のリーグ戦で一塁手のベストナイン。186センチ、90キロ。右投右打。