芝に限って、2200メートルのG1とG2の数は、マイル(1600メートル)と2000メートルの次に多いことをご存じだろうか。クラシックディスタンスの2400メートルやスプリント戦の1200メートルよりも多いのだ。非根幹距離でG3も無く、ややマイナーな印象を受けるが、G1は宝塚記念とエリザベス女王杯と年2戦行われており、特に牝馬限定となるエリザベス女王杯は中距離以上に適性がある牝馬たちにとっては真のクイーン決定戦となる。
エリザベス女王杯の特徴の一つはリピーターが多いこと。86年以降の3着内114のうち37、3割超が2度以上馬券圏内に入っている。牝馬は一般的に早くから能力が開花するとされ、上位の能力を持つ馬は年齢的な衰えがなければ牝馬戦線では上位をキープし続けることが多いからだ。なかには3年連続で過去(京都競馬場開催のみ)に馬券圏内に入った馬もいる。
▽アドマイヤグルーヴ(03年1着、04年1着、05年3着)
▽スイープトウショウ(05年1着、06年2着、07年3着)
▽クロコスミア(17年2着、18年2着、19年2着)
この3頭の血統的な共通点は、3代内に欧州の芝2400メートルでG1勝ちした馬と米国のダートG1を勝利した馬を持つこと。牝馬の頂上決戦らしく、スピード、スタミナ、パワーを兼ね備えている血脈を持つ馬が強い。
今回のメンバーでは7頭(コンクシェル、レガレイラ、シンリョクカ、シンティレーション、サリエラ、ハーパー、ゴールドエクリプス)が該当するが、注目はハーパーだ。
父ハーツクライは前述のアドマイヤグルーヴとほぼ同じ血統構成。母系にシアトルスルー系、ミスタープロスペクター系を内包するのは19年&20年に連覇したラッキーライラックと同じ。祖母の父にミスタープロスペクター系を持っていたのは、ラヴズオンリーユー(19年3着&20年3着)、ミッキークイーン(16年3着&17年3着)、ラキシス(13年2着&14年1着)とエリザベス女王杯とは相性が良い血統構成だ。何よりも昨年3着に入ったリピーター。馬券に加えておきたい1頭だ。(編集委員・小松 雄大)