J2ベガルタ仙台は8日、22年にJ1鹿島から仙台へ加入したMF遠藤康(36)の今季限りでの引退を発表した。この日チームは最終戦となるホーム・大分戦(10日、ユアスタ)に向けて仙台市内で練習。別メニューで調整した遠藤は練習後、引退を決断した思いなどを語った。
現役生活18年目。仙台・遠藤がスパイクを脱ぐ。引退を決断した理由は「一番はピッチの上でチームを勝たせられなくなった」。今季は開幕戦の1試合のみの出場。23年8月末に左足底腱膜炎の影響で人生初の手術を受けたが、その後は他の部位にも影響があったという。「鹿島の経験を仙台や子どもたちに与えたい思いで帰ってきましたけど、できなくなってしまった。これからはピッチ外のところでやろうと、強く思えるようになってしまった」と胸中を明かした。
2007年、J1鹿島へ入団。利き足の左から放たれるセンス&精度抜群のパスやシュートなどを持ち味に、日本代表候補に選出されるなど活躍した。22年には地元・仙台へキャリア初の移籍。鹿島では数多くのタイトルを獲得してきたが、一番印象に残っているのは17年に優勝がかかる最終節で磐田と引き分け「優勝を逃した時が悔しくてしょうがなかったこと」。“常勝軍団”で築いた勝者のメンタリティーをベガルタに植え付けてきた。
仙台入団時は「まさかこんなに歓迎してくれるとは思いませんでした」。加入後の3年間は試合に出場できない時間も多かったが悔いは無い。「ワンクラブで終わるのはすごくいいことだけど、僕自身、鹿島だけで終わらなくてすごく良かった。ベガルタのサポーターやスポンサーの方々とかそういう人と巡り合えて、人間としての幅も視野もすごく広がった。ここまで支えてくださった方々に、感謝の気持ちでいっぱいです」。
今季は主将を務め、ピッチ内外でチームをまとめ上げてきた。10日にはJ1昇格プレーオフを懸けた最終戦が待っている。この日の練習前ミーティングでは選手たちに引退を伝え「18年間やってきて本当に一瞬だった。練習の1日や1秒をすごく大事にして欲しい」と思いを託した。絶対に負けられない理由が増えたイレブンが躍動し、キャプテンの花道を飾る。(山崎 賢人)
◆遠藤 康(えんどう・やすし)1988年4月7日、宮城県仙台市生まれ。36歳。塩釜FCユースから07年に鹿島に入団し、同クラブで15年プレー。鹿島在籍中に国内主要タイトル10冠、18年ACL制覇などを経験。22年からJ2仙台に加入した。J1通算304試合46得点。J2通算48試合6得点。168センチ、69キロ。利き足は左。