来年1月19日付で宝塚歌劇団を退団する専科スター・凪七瑠海(なぎな・るうみ)が10日、兵庫・宝塚大劇場での花組公演「エンジェリックライ」「ジュビリー」の千秋楽でサヨナラショーを行った。凪七は2003年入団の第89期生。22年目の卒業で本拠地に別れを告げた。
2021年に卒業した専科の大スター・轟悠(とどろき・ゆう)は退団作が大劇場ではなく、サヨナラショーもセレモニーも行われなかった。専科生としてのサヨナラショー実施は、近年では05年の樹里咲穂、初風緑以来と非常に珍しい。
そのショーでは「パッション・ダムール」や「蘭陵王」など16年に月組から専科に異動して以降の主演作のナンバーを熱唱。花組の新トップスター・永久輝(とわき)せあとは、23年の全国ツアーで共演した「激情」の楽曲でデュエットした。
退団セレモニーの花束贈呈には、専科代表の瀬央ゆりあ、そして同期代表では元花組トップスター・明日海(あすみ)りおが登場し、客席は「え~っ!」と、どよめいた。
凪七は「気が付けば宝塚の存在は幼い頃から当たり前のようにずっとそばにいてくれました。人生のすべてだった宝塚。勇気を持って飛び込み、挑戦し、乗り越えてまいりました。そして最後に私が勇気を持って行動したことは退団という決断。ここまで情熱を注ぎ、愛した場所を去るという決断をするには相当な勇気が必要でしたが、最高に幸せと言い切れる今、その決断をすることができました」と、あいさつ。最後は「凪七瑠海に出会って、長年支えて下さいましたすべての方々に最大の愛と感謝の気持ちを込めまして、22年間、本当にありがとうございました」と頭を下げた。
凪七は入団後の宙組時代に、男役ながら09年の月組公演「エリザベート」のタイトルロールで特別出演し、ファンに向かて書かれた手紙では「死神(トート)ではく、手を差し伸べていただいた瀬奈じゅんさんには感謝しかありません」と振り返った。13年に月組に組替えされ、16年に専科へ組替えされ、各組の後輩を支え、ファンからは「カチャ」の愛称で親しまれた。