◆東京六大学野球秋季リーグ戦最終週第2日 ▽慶大2―1早大(10日・神宮)
早慶戦は慶大が連勝。4番の清原正吾一塁手(4年)は大学野球の最終戦を白星で飾り、早大Vを阻止。試合後は大粒の涙を流して父・和博さん(57)ら家族や仲間への感謝を口にし、注目の進路には未定を強調した。敗れた早大は勝ち点4の8勝3敗2分けで明大と並び、12日に2010年秋以来、リーグ史上13度目の優勝決定戦を行う。早明による優勝決定戦は76年ぶり。早大は2季連続48度目、明大は3季ぶり44度目の優勝を懸け、雌雄を決する。
感極まった。清原の頬を大粒の涙が伝った。最後の早慶戦は連勝締め。目の前での早大のV決定を阻止する意地を見せた。2万6000人の観衆で埋まる客席へ、そして最愛の父へ「ありがとう!」と叫んだ。涙の理由をこう明かした。
「僕自身だけでは4年間、やって来られなかった。監督を始め、家族や仲間のみんなに『ありがとう』という思いが込み上げてきて…泣いてしまいました」
9回先頭。最後の打席はチェンジアップに空振り三振。「悔いなくフルスイングして終わろうと。僕らしくていいんじゃないかな」。最後の秋は打率2割6分4厘、3本塁打、5打点で終えた。6年間のブランクを経て再挑戦した野球に「僕の家族は野球がまたつないでくれた。自分の全てをささげてきた」と胸を張った。
進路は野球継続か否か。オイシックス、くふうハヤテ、独立L7球団の計9球団からオファーが届く。一般就職も有力な選択肢だ。「早稲田戦で2連勝することだけを考えて毎日過ごしてきた。明日以降、自分と見つめ合って考えたい。まだ何も自分の中で腹に落として決めきれていない。どの選択肢もあり得る」と説明した。注目は重圧だったかとの問いに「力になっていた。それを追い風に日々練習した」と爽やかに言った。自らを育んだ神宮のグラウンドへ、笑顔で別れを告げた。(加藤 弘士)