巨人は10日、ジャイアンツ球場での若手主体の秋季練習を打ち上げた。阿部慎之助監督(45)は自主トレ期間に入る選手に訓示。「毎日不安にかられろ」、「一瞬たりとも野球を忘れるな」、「質より量」、「迷ったらやれ」、「メリハリをつけろ」と5か条の指令を出し、自らを律して猛練習を課す必要性を強く訴えた。個別の時間を多く設けるために例年の秋より約1週間早く全体練習を切り上げ、来季の日本一、戦力底上げへ、実りの冬とすることを求めた。
季節の移り変わりを感じる肌寒さの中、阿部監督が若手に課題を与えた。G球場での秋季練習打ち上げの手締め前、マウンド付近に選手を集めて訓示。浅野、中山、門脇、岸田、オコエ、佐々木、横川、赤星、大江らに自主トレ期間に求めたい心構えを熱弁した。
「毎日不安にかられろ。一瞬たりとも野球のことを忘れるな。今までで一番やったんだと思える自主トレにしてきてくれ。メリハリをつけてちゃんと計画を練って、遊ぶ時は遊ぶ、やる時はめちゃくちゃやる。質なんかはいらない、とにかく量だ。迷ったらやれ」
今季は4年ぶりにリーグ優勝も、CSで敗退して日本シリーズ進出を逃した。来季の日本一へ若手のさらなる底上げ、レベルアップは不可欠だ。日頃から技術向上のためには「クソミソ練習するしかない」と鍛錬の重要性を説いている指揮官。オフ期間に猛練習を積むよう指令を出した。
とことん追い込んだ先に見えるものがある。「勝手に限界を作るなと。絶対にいつかね、何かの時に、(成功したのは)これをやっていたからだなって思える時が来るから。練習した人が勝つよ。量をやった人がね」。自身も若手の頃はヘトヘトになるまでバットを振って通算2132安打、406本塁打の土台を築いた。現代は動画やSNS、豊富なデータ面など無数の情報が得られるが、練習量に勝るものはない。
グラウンドを離れても高い意識を求める。食事やリフレッシュの時間でも頭の中には常に野球を置いてほしいというのが阿部監督の思いだ。さらに勧めるのはオフの練習内容をメモすること。「書き留めて、そのシーズンがどうだったのかとか振り返って。それで全然ダメだったら、じゃあ倍以上やらないと、とか思ってくれればいい」。来季以降に見返す財産として活字で残す大切さも説いた。
今年は宮崎での秋季キャンプを行わず、自宅や寮から通える本拠地でじっくり強化するために、G球場での秋季練習とした。さらに例年より約1週間早く打ち上げ。「何で早めたのか、その意味を考えてくれとも言った。しっかり自問自答して、今年の自分はどうだったのかとか、考える時間もあるだろうしね」。何が足りなかったのか―。オフを長くして個々が自分と向き合う時間を多く作った。
最終日のこの日、阿部監督は自ら外野ノックを打って汗を流した。数か月の自主トレで選手にどんな変化が見られるのか楽しみにしている。「見るからに変わっていたら、オッてなるよね」。来季にかける思いは全員同じ。修業の冬が幕開けした。(片岡 優帆)
◆G阿部監督の訓示
▽やってやろうじゃねえか 2月1日のキャンプ初日の練習前に円陣で訓示。「周りにはいろいろ言われてるわ俺も。厳しいだろうとか。だけどみんなの力を出せれば絶対勝てると思う。周りでつべこべ言うやつらは黙らすんだ。やってやろうじゃねえか。その気持ちを持ってやっていこうよ」と熱い言葉を贈った。
▽何がなんでも 6月21日のリーグ戦再開前のミーティングで選手に「何がなんでも」を合言葉に強い気持ちで戦おうと呼びかけ、ナインの勝利への執念を引き出した。
▽自問自答 10月29日の秋季練習初日の円陣で「のんびりしてるとすぐクビになる世界。それだけ厳しいんだ」と訓示。レベルアップに何が必要か自問自答することを求めた。