阪神・藤川球児監督(44)が10日、投手目線の助言で井上を“大変身”させた。ノーステップ打法を実践しながら体の軸を前後に大きく動かして打つ大砲候補に対し、打撃コーチを通じて前後の動きを最小限に抑えて軸をぶらさずに打つ重要性を伝授。ランチ特打で66スイング中、6連発を含む20本のサク越えを放った23歳を見て「すごく良くなった」と評した。
特打後、新指揮官は「やっぱり(軸が)動かない打者が強い」と直接伝えた。軸がぶれる打者には緩急を使った投球が有効的。緩い球で体を泳がせたり、逆に速球で詰まらせたりと翻弄(ほんろう)できる。「どう相手が崩してこようとしているのか。どういう動きになると崩されやすいか」。日米通算245セーブを誇るレジェンドの言葉が井上を変えた。
高卒5年目の今季は自己最多23試合に出場。プロ1号を含む3本塁打を記録するなど、飛躍の兆しを見せた。レギュラー奪取を目指し、高知秋季キャンプで鍛錬を積む若武者は「無駄を少なくというか、いつでも打てます、という準備ができる形を続けたい」と今後も“球児目線”を生かす構え。藤川監督は「能力が高い」と期待を寄せる青年の背中を押し、覚醒の時を待つ。(中野 雄太)
〇…藤川監督が来季の開幕投手について言及した。8日に出演したサンテレビ「熱血!タイガース党」で才木と村上を候補に挙げていたが、「ほぼ本気、ほぼ冗談みたいな。ファンの方に想像していただくのも一つのオフの楽しみ。僕が言うことはコロコロ変わりますよ」と不敵な笑み。現時点で両投手が有力候補であることに変わりはないが、新たに名乗りを上げる投手の出現にも期待している。